スマート農業で利用するドローンは補助金が使える?スマート農業の補助金制度とは
スマート農業に参入にするにあたって、最も心配なのは初期費用ではないでしょうか。その後のコストパフォーマンスが優れているからといって、ドローンなどの初期導入費用はバカになりませんよね。実は、国や自治体などによって、スマート農業参入への補助金がもらえる制度があります。今回は、こうした補助金制度の中でも農林水産省によって実施されているものについていくつかご紹介していきます。
1-1.農林水産業におけるロボット技術安全性確保策検討事業に係る公募について
1-2-1.強い農業・担い手づくり総合支援交付金の3つのタイプ
1.国による補助金制度
実は、国や自治体による補助金制度は、その数が500種類以上もあるとされています。つまり、補助金制度を導入している自治体が多いということです。まずは、国による補助金制度についてご紹介していきましょう。
1-1.農林水産業におけるロボット技術安全性確保策検討事業に係る公募について
少し、長い名称となっていますが、こちらは農林水産省による補助金制度です。今回は、令和2年度の募集要項を基に、大まかに補助金制度について説明していきます。令和3年度に全く同じ補助金制度が行われるかどうかは、現時点で未定ですので、詳細を知りたい場合は農林水産省の公式HPをご覧ください。
農林水産省公式HP:https://www.maff.go.jp/j/supply/hozyo/index.html
出典:農林水産省「農林水産業におけるロボット技術安全性確保策検討」
https://www.maff.go.jp/j/kanbo/smart/robot_anzen/attach/pdf/robot_anzen-9.pdf
1-1-1.補助金の対象となる事業
この補助金は、特にスマート農業におけるドローンの導入の際に有効です。要綱には、下記の2点の事業が対象となります。
①ドローン等小型の無人航空機による空中散布に関する安全性確保策の検討
②ロボット納期に関する安全性確保策の検討及び遠隔監視によるロボット農機の無人での完全自動走行の実現に向けた検証
上記事業に取り組むことを前提とした、機器の導入の際に補助金を申請することができます。
1-1-2.当事業の詳細
ここでは、
①ドローン等小型の無人航空機による空中散布に関する安全性確保策の検討
の詳細についてご紹介します。この補助金を申請し、利用する場合には事業に関連した下記の取り組みが必要となります。
・事業検討委員会の設置等
・安全性確保策の検討に向けた調査
・調査データの分析、評価
・ロボット技術の改良、設計
・安全性確保策の検討
・成果の報告及び普及
特にこの場合は、ドローンを利用した農薬散布に関する安全性確保のための実証実験を伴っています。ですからドローンを導入する農家だけでなく、機体の製造業者との連携が必要となります。
1-1-3.補助金の対象範囲
基本的には、事業に関係する経費については補助金の対象となることになっています。これを証明するために、請求書や領収書などの証拠書類が必要となります。下記のものは、補助金の対象外となりますので、お気をつけください。
・事業実施に直接関係ない経費
・事務所の家賃など事業実施主体の経常的な運営経費
・事業の期間中に発生した自己又は災害の処理のための経費
・補助対象経費に掛かる消費税及び地方消費税に係る仕入れ控除税額の規定により仕入れに係る消費税額として控除できる部分の金額及び当該金額に地方税法の規定による地方消費税の税率を乗じて得た金額の合計に補助率を乗じて得た金額
さらに、補助金には上限があります。ここでご紹介した、
①ドローン等小型の無人航空機による空中散布に関する安全性確保策の検討
の上限は「15,001千円」となっています。この表記はわかりにくいのですが、要するに15,001,000円ということです。単なるドローンの導入だけでなく、安全性確保のための調査にも関わるわけですから、これ程の補助が出るのです。
これらについては、下記の要綱に詳細がありますので、気になる方はご覧になってみてください。
なお、令和2年度の募集は終了しています。
https://www.maff.go.jp/j/supply/hozyo/seisan/attach/pdf/200220_1-1.pdf
1-2.強い農業・担い手づくり総合支援交付金
こちらの補助金は、農業用機械や施設の導入をする際に活用できる補助金です。この補助金は、名称にある通り強い農業と担い手を育てることを目的としています。このため、関連して下記の政策目標が掲げられています。
・指定野菜の加工、業務向け出荷量の増加
・1中央卸売市場当たりの取扱金額の増加
・意欲ある担い手の育成、確保
さらに、補助金制度の中で3つのタイプに分かれています。
1-2-1.強い農業・担い手づくり総合支援交付金の3つのタイプ
・産地基幹施設等支援タイプ
・先進的農業経営確率支援タイプ
・地域担い手育成支援タイプ
農業用機械の導入に関わるのは、「先進的農業経営確率支援タイプ」と「地域担い手育成支援タイプ」です。
出典:農林水産省「強い農業・担い手づくり総合支援交付金」
https://www.maff.go.jp/j/g_biki/hojyo/31/01/05/pdf/310_0542.pdf
1-2-2.強い農業・担い手づくり総合支援交付金の概要
各プランによって、対象や補助率が変わりますが、基本的には「適切な人・農地プランの作成および実質化をした地域の中心経営体等」を対象としています。
<地域担い手育成タイプ>
対象…地域農業の担い手として経営発展の取組を行おうとする農業経営体
補助率…3/10以内。(上限300万円)
<先進的農業経営確率支援タイプ>
対象…より高い目標をもって、農業経営体の主体性を発揮した取組、農業経営体と地域との相乗的発展を目指す取組、より規模拡大を図るための取組などを行おうとする農業経営体
補助率…3/10以内。(上限 法人1500万円、個人1000万円)
1-2-3.事業要件
この補助金を受けるためには、下記の要件を満たした事業を行う必要があります。
・単年度で完了するもの。
・整備内容ごとに、事業費が50万円以上。
・耐用年数がおおむね5年以上20年以下のものである。
・農業経営の用途以外の用途に容易に供されるような汎用性の高いモノでない。
上記すべてを網羅することで、農業用機械の導入の際の補助金を受けられる要件を満たすことになります。特にこの補助金制度は、各自治体が窓口になっていますので各自治体のHPを見ると制度についてわかるかと思います。
2.農業用ドローンの導入にはいくらかかる?
先に補助金制度について2つご紹介してしまいましたが、そもそも農業用ドローンを導入する際には、どれくらいの費用がかかるのでしょうか?
2-1.農業用ドローンはいくら?
農業用ドローンって、一体いくらくらいするのかご存じでしょうか。趣味などで利用する空撮用ドローンなどとは違って、農業用ドローンは非常に高額です。金額は100~300万円程度で、300万円以上するものもあります。これほど、高いとなるとやはり全て実費となると、初めての方にとっては迷われますよね。さらに、これは機体にかかる費用ですから、その他にも下記の費用がかかると考えられます。
・ドローンの維持、管理費用
・ドローンの資格取得など費用
ドローンについて何も知らない状態で、スマート農業を始めようとすると、まずドローンについて勉強しなければなりません。現在は、民間の資格やドローンスクールしかありませんので、それにかける費用もかなりかかるでしょう。資格を取得すると考えると、20万円ほどかかると予想されます。
3.まとめ
今回は、農林水産省による補助金制度を2つご紹介しましたが、実際にはもっとたくさんの補助金制度が存在しています。ドローンの導入を考えている方で、費用面を理由に悩まれている場合は、是非こうした補助金制度を知って、スマート農業の参入を前向きに考えてみてはいかがでしょうか。
社会的に有意義な「農業」推進に関わっていくことは、きっとあなたや企業の未来を拓くために、重要な要素になることは間違いないでしょう。