技適マークがないと法律違反!?知っておきたいドローンの電波法について
⇒ドローンを活用した業務効率化の教科書をダウンロードする(無料)
ドローンを操縦する際に、色々と気にしないといけないのがドローンの法律面。
後で「知らなかった」では済まされないので、常日頃から、ドローンに関係する法律について知っておくことも、とても大切になります。
そこで今回は、意外と知られていない、ドローンの電波に関する法律「電波法」について解説していきたいと思います。
・電波法とは
ドローンは、送信機(プロポ)から電波を飛ばし、離れた場所にいるドローンを操縦しています。
また、ドローンからも撮影した空撮の映像や機体のデータなどをスマホなどに飛ばしているため、実は、ドローン本体からも電波を発信しています。
この送信機やドローンから発せられる電波について、国によって定められたルールが「電波法」というものです。
300万MHz(読み:メガヘルツ)以下の周波数の電磁波のことを電波と言い、電子レンジなどの家庭用品やスマホ、パソコンなど、日常様々な所で、通常目に見えない無線の電波が利用されています。
そしてこれら無線電波の使用には、使用する周波数帯によって無線局の免許や無線従事者資格を受ける必要があります。
・ドローンを飛ばす際に必要な電波の話
電波法については総務省が管轄しており、現在、国内でドローン使用において利用可能な周波数帯は以下と定められています。
※出典:総務省「ドローン等に用いられる無線設備について」
この表のように、電波法において、周波数帯「73MHz帯」「920MHz帯」「2.4GHz帯(※送信出力が10mW/MHzのものに限る)」を使用するドローンの操縦には資格所持が不要となっています。
その反対に、周波数帯が「1.2GHz帯」「169MHz帯」「2.4GHz帯(※送信出力が最大1Wのもの)」「5.7GHz帯」を使用してドローンを操縦、映像転送する場合、資格が必要です。
・DJIなどほとんどのドローンは資格が必要なし
電波法では、「無線局を開設しようとする者は、総務大臣の免許を受けなければならない」とされています。
ただし、前述の通り、資格が必要ない周波数帯(2.4GHz帯 ※送信出力が10mW/MHzのもの)や一部の検査を受けた無線局の使用に関しては、免許や申請は不要です。
しかし、その際には、「技術基準適合証明」を受けなければならず、免許不要で無線通信を行う場合は、この「技術基準適合証明等のマーク」(※通称「技適マーク」)がある送信機、ドローンを利用する必要があるということになります。
「技適マーク」
DJIなどのメーカーが発売しているドローンであれば、基本的に資格が必要ない周波数「2.4GHz」帯を使用しているため、資格が必要ありません。
そのため、予め適合証明を受けた「技適マーク」がドローンの送信機や機体本体に記載されているはずです。
ぜひお使いのドローンにも、この「技適マーク」があるか、念のため、確認するようにしておきましょう。
・注意!電波法違反となるケース
通常、DJIなどから発売されているようなメーカー正規品の場合、違法となることはありません。
しかし、以下のようなケースでは、知らずのうちに電波法違反となっている可能性もありますので、十分に注意するようにしてください。
①海外から輸入されたドローンを使用している
②海外で購入したドローンを使用している
③中古品を買ったが技適マークがない
④伝送距離を伸ばすために、プロポの改造をした
⑤携帯やスマホをドローンに搭載して飛行させた
①~③のように、海外品からの輸入品や並行輸入品の中には技適マークがない商品も多く含まれています。
現在、海外で流通しているドローンの多くは「5.8Ghz帯」を利用しているものが多く、日本国内で使用する場合は、いずれも、無線局開設の免許が必要となるため、そのまま利用することができません。
また、④の送信機(プロポ)の改造なども、電波通信の改善などであれば問題ありませんが、出力される電波自体を強くするなどの改造をした場合、これらも無線局の免許が必要となり、そのまま使用することはできません。
⑤のスマホをドローンに搭載することは、現在の携帯電話は上空からの利用を想定して設計がされていないことから違反となっており、利用する際は実用化試験局の免許が必要となります(※参照「無人航空機における携帯電話等の利用の試験的導入」)。
もしこれらの利用ケースに該当した場合、電波法違反になる可能性があります。
違反した場合は、1年以下の懲役又は100万円以下の罰金に処せられる可能性 (第110条第1号)があるため、注意が必要です。
~無線の免許、資格が要るケース~
通常、DJIのドローンなど、各メーカーから発売されている正規品を使う場合、2.4Ghz帯の電波が使われており、送信出力が10mW/MHz以下であるため、無線に関する免許等は必要なく操縦することが可能です。
しかし、それ以外の用途の場合、以下のようなケースでは、無線局の免許や資格が必要となります。
・ドローンレースなどをする場合
ドローンレースなどでは、多くの場合、FPVゴーグルを装着してレースを行います。
その際のFPVゴーグルは、海外製のものが多く、ほとんどが「5.8Ghz帯」の電波が使われているため、趣味でドローンを飛ばす場合は、「第四級アマチュア無線技士(4アマ)」以上の資格が必要です。
・大型の産業用ドローンを使用する場合
周波数帯「5.7GHz」は、長距離通信が可能で、かつ混線による通信の乱れに強いという特徴があり、主に業務用途としてこの「5.7Ghz帯」の電波を発する大型ドローンが利用されるケースがあります。
このような、仕事でドローンを飛ばす場合は、業務用としての「第三級陸上特殊無線技士(3陸特)」以上の資格を持っていなければなりません。
また、電波法第4条には「無線局を開設しようとする者は、総務大臣の免許を受けなければならない。」と記載されており、操縦者の資格以外にも、総務省への「無線局の開局」手続きが必要となります。
このような手続きを経ずにドローンを使用した場合、法律違反となってしまいますので、注意するようにしましょう。
まとめ
ドローンに関する電波法について詳しく解説してきました。
ドローンを操縦する者にとって電波法の話は、後で「知らなかった」では済まされない話です。
ドローンの事故にも関わることでもありますので、未然に事故を防ぐためにも、これらのことをしっかりと遵守するようにしましょう。
旭テクノロジーでは、プラント事業からスタートした長年の経験を活かし、法人向けにドローンの導入支援を行っています。ドローンの運用だけでなく、データ収集した後の画像処理まで一気通貫で支援が可能です。現場で課題を感じられている方はお気軽にご相談ください。専門家に無料相談してみる⇒