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2019.09.10

2020.05.21

【ドローンと仕事】24時間体制での管理が可能!ドローンを使った害獣駆除

【ドローンと仕事】24時間体制での管理が可能!ドローンを使った害獣駆除

「スマート農業」の現場において、中心的な活躍を見せるドローン。

手作業の何十倍以上ものスピードで“農薬散布”を行ったり、土壌の肥沃度や水分を数値化する“精密農業”を行うなど、ドローンならではの働きで農作業にダイレクトに関わる一方、近年、問題視されている害獣(鳥獣)被害に対しても活躍が期待されています。

 

今回は、害獣被害対策においてドローンがどのように活躍しているのか、深刻な害獣被害の現状と合わせて解説します。

 

数字以上に深刻な害獣被害の現状

近年、農業の現場では野生鳥獣による農作物被害が深刻な問題になっています。

2017年に農林水産省が発表した被害額は年間約164億円。内訳はイノシシとシカによる被害が半数以上を占め、そのほかにもカラスやスズメなどの鳥類や、サルなどがいます。

 

2009年に年間200億円以上の被害が出たことから、農林水産省が主導して、全国的に捕獲体制の強化を行った結果、2013年以降は5年連続で被害額が減少したという実績があります。しかし依然として深刻な状況であることに変わりありません。

というのも、害獣被害の現場では、現在無視することのできないいくつかの問題があり、減少傾向にある被害額が、一転して再び増加してしまう危険性が含まれているからです。

 

主な問題としては、地方の急速な高齢化と人口減(過疎化)によって耕作放棄地が増加していることや、緩衝地帯となる里山で活動する住民の減少が挙げられます。また害獣を撃退する狩猟者の方々も高齢化に伴って、年々減少していることです。

 

里山、森林管理の粗放化や、狩猟による捕獲圧の低下は、野生鳥獣の生息環境に変化をもたらし、新たな害獣被害を生む原因となっています。

 

また害獣被害は、農作業に多大な被害を与えるだけでなく、農業者の営農意欲を低下させるものであり、さらに耕作放棄地を増加させる一因にもなっています。

そのため、被害額として数字に表れる以上に、深刻な影響を及ぼしていると考えられます。

 

害獣駆除におけるドローンの役割とは

従来の害獣被害対策といえば、害獣の侵入を防ぐ侵入防止柵や、音や光を放つ追い払い機器、忌避剤の設置などが主流でしたが、いずれも害獣たちがすぐに慣れてしまうことから効果的な対策にはなっていませんでした。

 

被害が防ぎきれない場合には、銃器や罠を用いて直接、害獣の捕獲・駆除を行っていましたが、狩猟者が減少しているため、年々対応が難しくなってきています。

そんな中、救世主のごとく現れたのがドローンです。

 

害獣被害対策におけるドローンの役割は大きく分けてふたつあります。

一つ目はドローンを野生鳥獣に接近させて、警戒心を抱かせその場から追い払うというものです。

ドローンから発せられる飛行音だけでも効果的ですが、最近では害獣の天敵となる動物の鳴き声を発したり、爆竹を鳴らしたり、害獣だけに聞こえる超音波を発して撃退するという方法も実施されるようになりました。

 

もう一つの役割はドローンに搭載したカメラを使って、害獣の監視や、生態調査を行うことです。

獣の数や、行動を事前に把握することで行動予測が容易となり、より効果的な対策を立てられるようになりました。最近では赤外線カメラを積んだドローンを飛ばして、夜間に行動するイノシシを観察することにも成功しています。

 

他のソリューションと組み合わせてさらなる効果に期待

現在、害獣被害対策にはドローン以外にもIoT(Internet of Things/モノのインターネット)を活用したソリューションサービスがあります。

一見インターネットと害獣被害対策は無縁のように思えますが、実際は人間が直接対策に繰り出すよりも安価で、効率よく対策を行うことが可能になってきています。

 

代表的なソリューションとしては、設置した箱わなをカメラで監視し、害獣が罠にかかるとその様子をカメラで撮影して、管理者にメールで通知する「箱わな監視ソリューション」があります。

従来は一度罠を設置すると、害獣がかかっていないか定期的に人間が見回りをしなくてはなりませんでしが、このソリューションを使うことで、害獣が罠にかかった時のみ、対応すればよいので、人間の作業負担が大幅に軽減されるようになりました。

罠にどんな動物がかかったのかもカメラを通して事前に分かるため、駆除の準備もスムーズになりました。

さらにカメラは常時起動しているわけではなく、害獣が罠にかかった時のみ起動するため、消費電力が抑えられ、乾電池だけでも年単位の運用が可能になりました。

 

もうひとつの代表的なソリューションは「出現場所分析ソリューション」と呼ばれるものです。

こちらは設置したセンサーが害獣を検知して、その情報を管理サーバーに送り、サーバー側はGIS(Geographic Information System/地理情報システム)上に害獣の出現場所を記録していきます。

地図上に出没記録が蓄積されていくことで、害獣の出没しやすい場所が把握しやすくなり、先ほど紹介した「箱わな監視ソリューション」の設置が、より効果的なものになります。

 

すでに相乗効果を発揮しているこれらのソリューションと、まだまだ伸びしろのあるドローンの機能をうまく組み合わせることができれば、害獣被害はこれまで以上に抑えることが可能になるでしょう。低コストかつ24時間体制、さらに無人で害獣駆除が行えるという日が、もうすぐそこまで来ているといってもよいかもしれません。

 

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害獣駆除の中核を担うドローンですが、同じく求められるのはそれを扱える操縦者です。

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