ドローンの夜間飛行には、一定の訓練と申請手続きが必要です。この記事では、ドローンの夜間飛行を実施したい人に向けて、ドローンの夜間飛行に資格などを解説します。他にも夜間飛行が禁止されている時間・場所や未許可で飛行させた場合の罰則、必要な操縦スキル・守るべき規則を解説します。
ドローンの夜間飛行の申請手続きやマニュアルについて、訓練方法も解説しているため、ぜひ参考にしてください。
無人航空機ことドローンは世の中を大きく変える力があると考えられており、ドローンを活用した物流などの変革は空の産業革命と呼ばれています。
本記事ではドローンの国家資格や既存の民間資格について詳しく解説していきます。ぜひ最後までご覧ください。
目次
1.ドローンの夜間飛行に資格は必要?
ドローンは基本的に、夜間飛行が禁止されています。しかし特殊な訓練を行い、申請することで夜間でもドローン飛行が可能になります。
ドローンの飛行時間にはルールがある
ドローンの飛行はルールで時間が決められています。航空法第132条の86第2項第1号によると、無人航空機の飛行においては「日出〜日没の間におこなわれる飛行」という旨が記載されています。そのため原則として、ドローンの夜間飛行は禁止されています。
ただし日出と日没のタイミングは、いずれも標高や季節によって異なります。
夜間飛行には訓練と申請手続きが必要
ドローンの夜間飛行は、すべて禁止されているわけではありません。屋内で空間が密閉されている場合は、航空法の対象とならないため飛行が可能です。また屋外の場合、夜間飛行に関する訓練に取り組み、国土交通省へ申請して許可を得ることで、飛行できます。
ただし許可がされていても、一定の条件が課せられます。詳しい条件、申請方法は後述するため、参考にしてください。
2.ドローンの夜間飛行が禁止の「時間」「場所」とは?
ドローンの夜間飛行は、時間や場所によっては禁止されています。ここでは「日出」「日没」の時刻の調べ方や、屋外の夜間飛行について解説します。
「日出」「日没」の時刻の調べ方
前述したように、航空法では、無人航空機は「日出から日没まで」に飛行させることが定められています。「日出」「日没」は、国立天文台が発表している時刻を基準としています。しかし標高や季節によっても、これらの時刻は変わるため注意しなければなりません。
- 国立天文台のホームページから確認できるため、事前にチェックが必要です。知らないうちに、無断で夜間飛行してしまわないよう、事前に飛行可能な時刻をチェックしておきましょう。
「屋外」の夜間飛行は原則禁止
山間部をはじめ、人が少ない場所や自宅の庭など場所に限らず、屋外で許可のないドローンの夜間飛行は禁止されています。しかし場所によっては、屋外であっても「屋内」とみなされる場合もあるでしょう。例えばネットで囲われているゴルフ場などは、屋外であっても「屋内」として扱われます。
ドローンは、飛行できる時間と場所を必ずチェックしてから使用しましょう。
3.未許可でドローンを夜間飛行させた場合の罰則
許可を得ないままドローンの夜間飛行を行った場合、罰則があります。航空法第157条の7第1項1号に「1年以下の懲役または50万円以下の罰金」が科せられると記載されています。具体的に罰則が課される対象は、以下の2つです。
- ・対象施設及びその指定敷地等の上空で小型無人機等の飛行を行った人
- ・法第11条第1項による警察官の命令に違反した人
4.ドローンの夜間飛行に必要な操縦技量・規則は?
ドローンの夜間飛行には、相応の操縦スキルが必要です。もちろん夜間飛行に関する規則も、知っておかなければなりません。必要な操縦スキルと規則について解説します。
基本的な操縦技量を習得すること
国土交通省航空局が定める「無人航空機飛行マニュアル」では、ドローンを飛行させるうえで必要な訓練・遵守事項をまとめています。
そのなかでは「基本的なスキル」として、「10時間以上」の操縦練習をおこない、次の操作がスムーズにできるようにすることを挙げています。例えば離着陸やホバリング、前後左右・水平面の移動についても記載されています。
操縦練習の際は、十分な経験がある人の監督下でおこないます。訓練場所は、そもそも許可が不要な場所か、訓練の許可を得た場所でおこなうように記載されています。
夜間における操縦練習をしていること
基礎的な操縦の技量を習得したうえで、次の操作ができるスキルを特訓します。具体的には、対面飛行や飛行の組合、8の字飛行などです。訓練場所は、許可が不要な場所または訓練するために許可を得た場所でおこなってください。これらを夜間でも問題なく操作できるようにしましょう。
目視外飛行は実施しないこと
ドローンの夜間飛行では、目視外飛行が禁止されています。夜間に目視外飛行をおこないたい場合は、独自マニュアルを作成しなければなりません。ただし独自マニュアルは、個人での作成が難しいかもしれません。ドローンに詳しい行政書士だけでなく、国土交通省のヘルプデスクにも相談できます。
灯火が装備された機体を使用すること
ドローンの夜間飛行には、機体の向きを見て確認できるよう、灯火が装備されている機体を使ってください。また機体の灯火が問題なく認識できる範囲内でのみ、飛行してください。
第三者が飛行高度と同じ半径内に侵入しないこと
ドローンを夜間飛行させる場合は、第三者が飛行高度と同じ距離の半径内に侵入しないよう、十分に注意してください。敷地に人がいないことを確認するのはもちろん、人が立ち入らないよう周囲を規制するといった工夫を忘れずにおこないましょう。
ドローンの特性を理解した補助者の配置
ドローンの飛行には補助者の配置が必要です。飛行させる際は、操縦者はもちろんのこと、ドローンの特性を十分に理解している補助者を配置しなければなりません。
離発着場所に照明を設置する
ドローンの離発着場所には、十分な照明を確保しなければなりません。撮影用の照明機材や車のヘッドライトなどを用いるのがおすすめです。周囲が薄暗いと、思わぬ事故につながるため、照明は必ず準備しておきましょう。
5.ドローンの夜間飛行の申請手続き
ドローンを夜間飛行させるためには、特別な申請が必要です。ここではドローン夜間飛行に必要な申請手続きについて解説します。
必要な書類・申請方法
そもそもドローンの飛行には、昼夜問わず「マニュアル」と「申請書」が必要です。方法は「オンライン」のほかにも、「郵送」や「持ち込み」で申請可能です。しかし国土交通省では、原則として「ドローン情報基盤システム(通称DIPS)」からのオンライン申請を推奨しています。申請内容は、審査要領をもとに、許可・不許可が判断されます。
「包括申請」と「個別申請」
ドローンの飛行申請には「包括申請」「個別申請」の2種類があります。包括申請とは、継続的に飛行させる場合の手続きです。期間は1年間であり、飛行させる範囲を日本全国とした申請です。個別申請とは、期間や飛行させる範囲を特定して申請する方法です。個別申請の場合、申請書に記載する内容は、飛行日時やエリア、補助員の配置図、安全対策などです。
申請から許可までには、ある程度の期間が必要です。飛行する日から10日前を目安に手続きをするようにしましょう。
「標準マニュアル」と「独自マニュアル」
マニュアルは、国土交通省の「標準マニュアル」が複数パターン用意されています。そのほかにも、自分で作る「独自マニュアル」が使用可能です。標準マニュアルを利用することで、独自にマニュアルを作成せずに、ドローンを飛行できます。
ただし標準マニュアルには、家屋が密集している地域では飛行しない、夜間の目視外飛行をしないなどの記載があるため注意しましょう。
6.ドローンの夜間飛行で気をつけるべき「マニュアル」の使用方法
前述したように、国土交通省が用意する「標準マニュアル」を使用すれば手間がかからないのに対し、注意すべきポイントがあります。前述したように標準マニュアルの場合、以下のように一定の条件下で夜間飛行ができないと定められています。
- ・人や家屋が密集している地域の上空は禁止
- ・目視外飛行は禁止
- ・灯火が装備されている機体の使用
- ・灯火が認識できる範囲内の飛行
- ・飛行高度と同じ距離の半径内への第三者の進入禁止
上記の条件外で夜間飛行を実施したい場合は、独自にマニュアルを用意しなければなりません。
7.ドローンの夜間飛行を訓練する方法
ドローンの夜間飛行には、訓練が必要です。ここで問題となるのが、夜間飛行の訓練は夜間におこなう必要があるものの、夜間飛行には申請が必要である点です。そして申請には訓練が必要という矛盾が生じてしまいます。
しかし以下の方法であれば、申請せずに夜間飛行できるため、訓練におすすめです。
- ・屋内
- ・四方が囲まれた場所で練習する
- ・100g未満のドローンを飛行させる
100g未満の場合は、航空法の規制対象にあたりません(※)。
※令和4年6月20日より、重量100g以上の機体が規制対象に変更しています
8.まとめ
ドローンの夜間飛行について解説しました。株式会社旭テクノロジーは、国土交通省の無人航空機操縦者技能証明制度における、認定登録講習機関です。「一等無人航空機操縦士 回転翼航空機(マルチローター)」や「二等無人航空機操縦士 回転翼航空機(マルチローター)」に認定されています。
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