ドローンの操縦には国家資格や免許が本当に必要ないのか?

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ドローンが私たちの生活やビジネスに浸透してきた今、操縦には国家資格が必要な場合があります。しかし、「そもそも資格って本当に必要なの?」や「資格がないと何が起こるの?」といった疑問を持つ方も多いのではないでしょうか。この問題、実は思った以上に奥が深いんです。無資格で飛行させるリスクや罰則を知らないと、思わぬトラブルに巻き込まれることも…。そこで今回は、ドローン国家資格の重要性やリスク、そして資格取得のメリットについて具体的にお伝えします。
目次
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ドローンの操縦(飛行)には資格や免許がいらないのか?なしでも大丈夫?
結論からいうと、ドローンの操縦や飛行には資格や免許は必要ありません。しかしながら、資格や免許などが何もない状態でドローンを操縦しようとすると自由に飛行させることが非常に難しくなっています。なぜなら法律によって様々な制限がかけられているからです。この制限を解除するために国土交通省に飛行申請を提出し、飛行許可・承認をもらう必要があります。
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法的にはドローンの操縦には免許や資格は必要ない
前述したように2024年12月現在の法律では、ドローンの操縦に資格や免許の取得が必要になる法律はありません。国交省が認定するドローン国家資格や、DPA、JUIDA、DJI CAMPといった国土交通省に認可された民間団体の資格があります。
一部の民間団体(DPAやJUIDAなど)は国とドローンの制度、活用について協議する小型無人機に係る環境整備に向けた官民協議会に参加した実績があります。また国土交通省からドローンのスクールを管理する団体として認可をうけています。この団体のことを管理団体といいます。
現行の法律では資格不要。ただし制限が多い現実
現在の日本では、ドローンを操縦するために国家資格や免許を取得する義務はありません。ただし、航空法やその他の法律で多くの制限が課されており、特定飛行となる飛行では許可・承認が必要になります。たとえば、人口集中地区(DID地区)や150m以上の上空での飛行や目視外飛行、第3者の所有物から30m未満の飛行は、許可なしでは航空法違法で1年以下の懲役または50万円以下の罰金となります。
なぜ資格がないと運用が難しいのか?
資格がない場合、許可を取るために必要な書類や審査が増え、手続きが煩雑になります。また、飛行場所や時間帯が大幅に制限され、趣味や業務での活用が難しくなります。これらの課題を解決するために、多くの操縦者がドローン国家資格を取得しています。
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特定飛行とは?リスクと必要性を解説
特定飛行とは、航空法で規定される「通常の飛行に比べてリスクが高い」とされる飛行形態を指します。その代表例が以下のようなものです。
目視外飛行
ドローンを直接目で追うことができない状況での操作。災害現場や広大な農地での調査に使われますが、周囲の状況把握が難しく、衝突や事故の危険が増大します。
人家の密集地での飛行(DID地区)
住宅が密集する区域では、墜落時に建物や人への被害リスクが高まります。
高度150m以上の飛行
航空機が飛行する領域に入るため、航空安全確保の観点から厳しい規制があります。
夜間飛行
夜間飛行とは、日没から日の出の間にドローンを飛行させることを意味します。国交省の定めで日没から日の出までの時間にドローンを飛行させることを夜間飛行と定義されているので、個人で勝手に判断することはやめましょう。こうした飛行では、高度な技術や安全意識が欠かせません。国家資格取得者は、法律に基づく正しい操縦方法やリスク管理について専門的な知識を持っているため、安全性が担保されやすいと言えます。
資格が義務化されている背景には、これらのリスクを最小化し、第三者への被害を防ぐという社会的な責任があるのです。
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ドローンの飛行許可・承認とはどのようなものか?
ではドローンの飛行許可・承認とはどのようなものでしょうか。以下の画像は実際の許可証です。

国土交通省に飛行申請を提出し、許可・承認されるとPDFで許可証をもらうことができます。
ドローンを飛行させる際は、この許可証を紙にプリントし携帯することが求められます。
現在はスマホなどにPDFで保存し提示を求められた際は、紙の許可証の変わりにスマホを提示することも認められています。
航空法で制限されている飛行エリアや飛行形態(飛行方法)とは?
ドローンは航空法で飛行可能エリアや飛行形態(飛行方法)が制限されています。
飛行禁止エリア
- 空港等周辺地域の上空
- 高さ150メートル以上の上空
- 人口集中地区(DID地区)
※人口集中地区とは、国勢調査によって定められた「人家の密集地域」です。
飛行形態
- 夜間飛行
- 目視外飛行
- 人、物、建物から30m未満の飛行
- イベントや催し物上空での飛行
- 危険物の輸送
- 物件投下
簡単にいうと以上の飛行エリアや飛行形態でドローンを飛行させる際は、国土交通省の許可・承認を得た上で許可証を携帯する必要があるということです。
特に注意しなければならないのが飛行禁止エリアの人口集中地区(DID地区)と飛行形態の「人、物、建物から30m未満の飛行」、「目視外飛行」です。
「自分の家の庭なら大丈夫だろう。」と考えていても、人口集中地区に該当しているケースがあるので注意が必要です。
「人、物、建物から30m未満の飛行」は簡単に言うと「第3者や第3者の所有物から30m未満の飛行」は禁止されているということです。
外で飛行させるときに第3者の所有物から30m以上、距離をとるのは非常に難しい場所が多いでしょう。
「目視外飛行」とはパイロット(操縦者)の視界内にドローンがない状態で飛行させることをいいます。
現在主流の汎用ドローンは、本体に搭載されたカメラで撮影された映像をリアルタイムに画面表示することができます。
その映像を確認するために、ドローンから目を離した時点で目視外飛行となってしまいます。
目視外飛行の訓練は専用の管理者と施設の元で行うと国土交通省が定めています。
以上のように事実上ドローンを外で飛行させるためには許可証が必要といっても過言ではないでしょう。
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ドローンの国家資格を保有するメリットとは?
ではドローン国家資格は保有するメリットがあるのでしょうか?結論を述べますとドローンの国家資格を取得することで国土交通省への飛行申請がスムーズになります。またドローンを飛行させる際には、航空法だけでなく様々な法律が関わってきます。
ドローン国家資格を取得することで法的なトラブルや墜落事故の回避につながり、ビジネスを行う上での信頼にもつながります。1つずつ順番に解説します。
国土交通省への飛行申請、飛行許可をスムーズに
前述したように趣味や業務でドローンを飛行させる際に、国土交通省の飛行許可がないと飛行できる場所や方法が大幅に制限されてしまいます。
ドローン国家資格を取得することで一部の書類の提出が省略できます。以下は国土交通省へ飛行申請する際に必要な書類一覧です。
- (様式1) 無人航空機の飛行に関する許可・承認申請書
- (様式2) 無人航空機の機能・性能に関する基準適合確認書
- (様式3) 無人航空機を飛行させる者に関する飛行経歴・知識・能力確認書
- (別添資料1) 飛行経路の地図
- (別添資料2) 無人航空機及び操縦装置の使用が分かる設計図又は多方面の写真
- (別添資料3) 無人航空機の運用限界及び無人航空機を飛行させる方法が記載された取扱説明書等の該当部分の写し
- (別添資料4) 無人航空機の追加基準への適合性
- (別添資料5) 無人航空機を飛行させる者一覧
- (別添資料6) 申請事項に応じた飛行させる者の追加基準への適合性を示した資料
- (別添資料7) 飛行マニュアル
- 技能認証 証明書
- 機体追加基準資料
国土交通省へ飛行申請を行うとき、ドローン国家資格をあわせて提出すると3,4の書類、審査が免除されます。
4の地図は、包括申請が行える飛行形態は免除されますが、空港周辺や150m以上の飛行、イベント上空の飛行の際には必要になります。
制限されている飛行形態の「夜間飛行」「目視外飛行」「危険物輸送」「物件投下」の場合は昼間飛行限定解除と目視内飛行限定解除のドローン国家資格を保有していない場合は、書類の提出が必要となります。そのため、ドローン国家資格を取得する際は、「基本・夜間飛行・目視外飛行」のコースを受講することを推奨します。
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また国土交通省が認めた機体は、6の機体の書類や審査が免許されます。
>>飛行許可を受ける際の申請書類の一部を省略することができる無人航空機
夜間飛行や目視外飛行などの飛行形態で飛行させる場合は、機体追加基準資料が求められる場合もあります。
このように国土交通省に認可されているドローン国家資格を取得すると国土交通省へスムーズな飛行申請が可能になり飛行エリアや飛行方法を拡大することができます。
飛行形態(飛行方法)の訓練が容易に行える
夜間飛行や目視外飛行などの飛行形態は、「経験のある管理者の元で訓練を行う」と国土交通省に定められています。
認可された資格を取得できるドローンスクールでは、大抵これらの飛行形態を訓練でき、解除することができます。
解除とは資格の証明書に解除された項目が記載されることを意味しています。
夜間飛行や目視外飛行はドローンを飛行させる際にほぼ必須となる重要な飛行形態なので事前にしっかり確認しましょう。
ドローンの操縦技術や知識の証明になる
ドローンは「空を飛行する」ものなので、高い技術がないと、事故に繋がる可能性もあります。ドローンを操縦できる技能があることを証明できる客観的な指標が必要です。ドローン国家資格を取得することでドローンについてあまり詳しくない人に説明する際、技術があることを証明できます。
墜落事故やトラブルの回避
独学でドローンを飛ばすと機体を紛失したり器物を破損してしまうリスクがあります。また知らず知らずのうちに法令に違反し逮捕された例もあります。ドローン国家資格を取得することで法令や機体の扱い方、操縦技術を身に着けることができるので、これらのリスクを回避することができます。
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ドローン国家資格がなくても飛行申請を提出できるのか?
では国家資格がない状態で国土交通省に飛行申請を提出できるのでしょうか。
結論からいうと10時間以上の飛行経験があれば「人、物、建物から30m未満の飛行」や「人口集中地区上空(DID地区)」での飛行は許可・承認される可能性が高いです。
ただ前述したように、飛行許可証がない状態でドローンを飛行できる場所は非常に限られており、10時間以上の飛行訓練を行うのは非常に厳しいのが現実です。
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また国土交通省に飛行申請を提出するときに、機体の点検・整備方法や訓練方法、安全を確保するために必要な体制を説明するマニュアルの提出を求められます。
一般的にはドローン国家資格を取得し飛行申請を提出するため、国土交通省が用意したマニュアルを使用するケースがほとんどです。しかしドローン国家資格がない状態で国土交通省のマニュアルを使用するには注意点があります。
ドローン国家資格がない状態で国土交通省のマニュアルを使用し飛行申請する際の注意点とは?
結論から述べますと、以下の3つの内容を満たすように10時間以上の飛行訓練を行う必要があります。
ただ単純に10時間以上飛行させればよいのではありません。
訓練の際に求められる内容
- 訓練の際には十分な経験を有する者の監督下で行う
- 訓練場所は許可等が不要な場所、もしくは訓練のために許可などを受けた場所で行う
- 対面飛行、飛行の組合、8の字飛行の習得
以上はあくまで国土交通省のマニュアルを使用する場合の訓練方法です。
飛行許可の必要ない場所は探せば見つかるかもしれませんが、十分な経験をもつ監督者などは知り合いにいなければ、そうみつかるものではありません。
また対面飛行や8の字飛行も習得する必要があり、単純に10時間以上の操縦訓練を行えばよいわけではありません。
他のマニュアルを使用したり制作する方法もありますが1からマニュアルを制作するのは現実的でなく、どちらにしろかなりハードルが高いのが実情です。
国土交通省に認可された団体の資格ならこの部分の書類審査が免除される形です。
ドローンを飛行させる際には航空法以外にも様々な法律が関わってきます。
資格を取得するための講習でこれらを学ぶことができるので、よほどの理由がない限りはドローン国家資格を取得し、国土交通省へ飛行申請を提出するのがよいでしょう。
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無資格飛行で遭遇する法的トラブルとそのリスク
資格を持たずにドローンを飛行させた場合、法的なリスクや罰則だけでなく、周囲の信頼や安全性を損なう結果になることがあります。ここでは、無資格飛行の具体的な罰則内容や、事故リスクについて掘り下げて解説します。
無資格で飛行した場合の罰則とその詳細
罰金と懲役の具体的な内容と適用例
無資格で特定飛行を行った場合、航空法違反として以下のような罰則が適用されます。
- 50万円以下の罰金:特定飛行条件に違反した場合、即座に適用される可能性があります。
- 懲役刑:重大な事故を引き起こした場合や、悪質な違反が認められた場合には、懲役刑が科されることも。
- 資格停止・業務停止:業務で使用する場合、許可を得られなくなることがあり、結果的に事業継続が困難になるリスクがあります。
適用例
例えば、資格を持たない状態で目視外飛行を行い、第三者の車両に衝突した場合には、法律違反として取り締まりを受けるだけでなく、物損賠償責任も負うことになります。また、公共のイベントで無資格飛行を行い、大勢の人々を危険にさらした場合には、社会的な批判を受けるだけでなく、民事訴訟に発展するケースもあります。
トラブルを未然に防ぐための注意点
無資格飛行によるトラブルを避けるためには、いくつかの基本的なポイントを押さえておく必要があります。
- 事前確認の徹底:飛行区域や条件をしっかり確認し、必要な資格や許可を取得しておくこと。
- 機体の点検と整備:資格保有者でも機体トラブルが起きる場合があります。日常的な点検を怠らないことが重要です。
- 知識と技術の習得:無資格の場合でも、まずはドローンの操作スキルや安全知識を学ぶことで、最低限のリスクを軽減できます。
資格がないことで起こり得る法的トラブルは、一瞬の不注意が引き金になる場合がほとんどです。特に業務でドローンを活用する場合、リスク管理のための準備を徹底することが不可欠です。
無資格での飛行が招く事故リスク
実例から学ぶ無資格飛行の危険性
無資格飛行が招く最大の問題は、「周囲の安全を脅かす」ことです。過去には、以下のような事例が報告されています。
- 公園での墜落事故:資格を持たない操縦者が公共の場でドローンを操作中に墜落し、近くの子供にケガを負わせた事例。
- 機体の誤作動:操作技術の不足や機体の不具合により、飛行中に制御不能となり、車道に落下した事例。
これらの事故は、資格保有者であれば事前にリスクを予見し、対処できた可能性が高いとされています。
ドローン事故での賠償責任について詳しく解説
ドローン事故では、以下のような賠償責任が発生します。
- 物損賠償:他人の所有物を破損させた場合、その修理費用を負担する必要があります。
- 人的被害の補償:負傷者が出た場合、治療費や慰謝料など多額の費用が発生することがあります。
- 社会的責任:ニュースなどで事故が取り上げられることで、個人や企業の信頼を大きく損なうリスクも。
無資格飛行は、操縦者にとっても社会にとっても大きな負担をもたらす危険行為です。このリスクを軽減するためには、やはり国家資格を取得することが最善策だと言えます。
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まとめ
ドローンの操縦には資格や免許が必要ありませんが、法律によって飛行場所や飛行方法が制限されています。
これらの制限はかなり厳しいもので制限を解除しないと飛行できる場所は非常に限られます。制限を解除するために国土交通省に飛行申請を提出し、承認・許可を得るのが飛行許可証です。
この飛行許可証を得るために10時間以上の実技訓練が必要ですが、訓練の方法も指定されており現実的にはドローン国家資格を取得するためにドローンスクールに通うのが最も近道というものでした。
法律に違反せずに安心して飛行させるには必要な知識と技術を学び、ドローン国家資格を取得したのち国土交通省に飛行申請を提出することが必要です。
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