【ドローンと仕事】ドローンやAI解析を使った「スマート農業」の未来とは?
様々なシーンで活用が進んでいるドローンですが、農業分野での存在感は日増しに強くなっています。
ここではドローンが農業の現場でどのように活躍しているのか、さらに今後どのような発展をしていくのかを解説します。
スマート農業とは?
最近、耳にする機会が多くなってきた「スマート農業」ですが、内容は詳しく知らない方も多いのではないでしょうか。
「スマート農業」とは“ロボット技術や情報通信技術(ICT)を活用して、作業の省力化・精密化や、高品質生産などを実現する新たな農業”のことであり、農林水産省が中心となって、近年積極的に推進されているものです。
そもそも「スマート農業」が推進されている理由は、日本の農業が直面している大きな問題にあります。現在、農業の現場では農業従事者の高齢化が急速に進んでおり(平均年齢66歳/2017年時点)、若者の農業離れも重なって、深刻な労働力不足が起きています。
そんな労働力不足問題の解決策のひとつが「スマート農業」です。
「スマート農業」を活用することで、野菜や果物の収穫などの複雑な作業をロボットによって自動化できたり、画像認識によって収穫時期に適した野菜・果物を収穫できたりと、農作業における省力・軽労化が進められます。
また、専門的な技術や知識を、ロボットの力で補うことができるため、新規就農者の確保や、栽培技術力の継承などにも期待できます。
そしてこの「スマート農業」の中心にいる農業用ロボットこそが、ドローンなのです。
スマート農業に欠かせないドローンの活躍シーン
実際に農業の現場でドローンがどのように活躍しているのかその一例をご紹介します。
ドローンを使った農薬散布
農業用ドローンの最も代表的な使用例が、ドローンを使った農薬散布です。
農薬散布といえば、これまでは人間がタンクを担いで農薬をまく地上散布と、産業用無人ヘリなどを活用する空中散布の2種類が主で、それぞれメリットとデメリットを抱えていました。
地上散布はコストが抑えられる分、非常に時間と労力のかかる作業でした。一方、空中散布は時間と労力が大幅に抑えられる反面、無人ヘリが一機1000万円以上もするなど、コスト面で農家の方を苦しめていました。
しかし、ドローンを使えば、手作業の約40~60倍の速さ(1ヘクタールあたり約10分)で農薬散布が行え、さらに価格も一機100~200万円台が中心で、コスト面でも大幅に抑えることができるようになりました。
さらに無人ヘリよりも農作物に近い距離で農薬を散布することが可能になったため、農薬の使用量を減らしつつ、より高い農薬効果が得られるようにもなりました。
ドローンを使った精密農業
一見、均一に見える圃場(ほじょう/農作物を育てる場所)や、そこで収穫される農作物には、実はばらつきがあり、ひとつとして同じものはありません。
繊細な圃場や農作物の管理は、農家の方々の長年の経験や勘があってこそ実現できていました。しかし、深刻な労働力不足が起きている中で、長年の経験をじっくりと育む余裕はありません。
そこで、経験や勘から成る「暗黙知」から、誰もが理解できる「形式知」に変えるために、情報通信技術(ICT)を導入して、土壌の肥沃度や水分などの要素を数値化。
圃場や農作物ひとつひとつを最適に管理し、農作物の収穫量や品質の向上を目指すようになりました。
これを「精密農業」といい、その数値化や指数化にもっとも役立っているのがドローンなのです。
具体例として、ドローンによって上空から圃場を撮影し、その画像データをAIで分析することで農作物の生育状況を確認したり、病害虫の発生と予防に役立てることができるようになりました。
ドローンを使った害獣対策
近年、農業の現場では中山間地域を中心に野生鳥獣による農作物被害が深刻な問題になっています。
2017年に農林水産省が発表した被害額は年間約164億円にも上りました。内訳はシカ(約55億円)、イノシシ(約48億円)が半数以上を占め、そのほかにカラスなどの鳥類、サルなどがいます。
これまでの害獣対策といえば、音や光を放つ「追い払い機器」の設置や、カプサイシンなどの忌避剤などがありましたが、どれも動物たちがすぐに慣れてしまうことから効果的な対策にはなっていませんでした。
そんな中、害獣対策の救世主となったのがドローンです。
害獣対策におけるドローンの役割はふたつあり、ひとつはドローンそのものの存在によって動物をその場から追い払うという役割です。
飛行音を出しながら接近するドローンに動物に警戒心を抱かせるという方法が主流ですが、最近では人間には聞こえない、動物が嫌がる超音波を発して撃退するという方法も実施されるようになりました。
もうひとつの役割はドローンに搭載したカメラを使って、野生鳥獣の監視を行ったり、生態調査を行う役割で、これらを行うことでより効果的な対策を立てるようになりました。
農業用ドローンに見るスマート農業の展望
今でも十分に活躍している農業用ドローンですが、まだまだ伸びしろのある分野であり、さらなる発展に期待されています。
今後も農業分野においてドローンが活躍することは間違いありません。しかし、どれだけ農業用ドローンが優れていても、それを扱える人材がいなければ、何も始まりません。
農業用ドローンと、ドローンを扱える人、そのふたつが組み合わさることで、スマート農業は実現するのです。
スマート農業に興味を持ったら「ドローンスクールジャパン」!
農業用ドローンに興味を持たれ、これからスマート農業の担い手になりたいという方にぜひおすすめしたいのが、ドローンスクールジャパンの「スマート農業コース」です。
同コースは座学2日間、実技3日間の計5日間のコースとなっており、座学ではドローンの基本的な仕組みから、農薬散布ドローンの機能説明と操作方法、空中散布における取り決めから散布方法、農薬の専門的な知識まで、農薬散布のオペレーターとして専門的な知識の習得を目指します。
続く実技では、ドローンの基礎的な操作方法の練習に始まり、実際に屋外で農薬散布用ドローンを使って、農薬散布の操縦方法を身につけていきます。
ドローン初心者&未経験者の方でもマスターできるよう、インストラクターがマンツーマンで丁寧に講習を行っていきますので、挫折することなく、高度な操縦を習得することができます。
コース修了時にはドローンスクールジャパンの認定資格「DS・J 4つ星技能認定」を取得でき、同時にドローンを使った農薬散布に必要不可欠な(一社)農林水産航空協会の「農薬散布ドローン操縦士資格認定」を取得できます。