農薬散布のためにドローンを導入したいなら知っておきたい補助金・助成金制度
人手不足の解消や、効率良い作業の実現のため、農薬散布にドローンの活用を検討される農家の方が増えてきました。しかし中には、ドローン機体の購入や、パイロットの育成費用など、高額な出費がかかってしまうことで、ドローンの導入を躊躇される方もいます。今回はそんな方に朗報となる、ドローン導入に利用できる補助金・助成金制度をご紹介します。
ドローンで農薬散布するのにどれくらいかかる?
働き手の高齢化や、若者の農業離れなど、深刻な人手不足にあった農業界を救うべく、彗星の如く現れた農薬散布用ドローン。農業にドローンを導入することで、どれだけのメリットを生まれるかについてはこちらの記事(【ドローンと仕事】ドローンやAI解析を使った「スマート農業」の未来とは?)にて詳しく解説しておりますが、一方で何かデメリットがあるとすれば、導入するまでの初期費用が高額であるという点でしょうか。
実際に農薬散布ドローンを導入するためにどれくらいの費用が必要なのかを以下にまとめました。
ドローンの購入費
農薬散布ドローンを導入するにあたって最も費用がかかるのが機体の購入費です。
ドローンを飛ばして農薬散布を行うわけですから、機体がなければ何も始まりません。価格帯は空撮用のドローンに比べるとかなり高額で、安くても100万程度、高いものだと300万円以上もかかります。空撮用ドローンの場合、最高クラスの機体でも40万程度であることを考えると、農薬散布用ドローンがいかに高額であるかがわかります。
ドローンスクールの受講料
機体を買ったらすぐに農薬散布ができるというわけではありません。農家のほとんどの方がドローンの操縦は初めてだと思われるので、まずは基本的な操縦技術を学ぶ必要があります。またドローンを使って農薬散布を行うに際して許可の申請を行う必要がありますが、その際に一定時間の飛行実績が求められます。操縦技術を学べ、同時に飛行実績を積むことができるのがドローンスクールの存在です。他の資格を得たい場合は別ですが、農薬散布用ドローンの操縦を目的とした場合の受講費用は20万円くらいが相場と言われています。
初期費用に数百万単位の費用がかかることに躊躇してしまうかもしれませんが、実際にドローンを使えば手作業の約40倍から60倍の速さで農薬散布が行え、時間と労力を大幅に短縮できるようになります。
また、もしも空中散布を無人ヘリコプターで行おうとした場合、ヘリ一機を導入するのに1000万円以上もかかることを考えれば、いかにドローンがコスト的に優れているかが、わかります。
農薬散布用ドローンの導入に使える補助金・助成金制度
農薬散布用ドローンの利用は、コスト的に非常にメリットがあり、上手に活用できれば数年以内に初期費用を回収することも可能です。しかし、初期費用の数百万をすぐに用意できない方や、少しでも初期費用を抑えたい方もいらっしゃると思います。
そこでご紹介したいのはドローン利用関連の補助金制度です。補助金とは、国や地方公共団体が事業者に対して、原則返済不要なお金を支給してくれる制度です。
農薬散布用ドローンに使える補助金・助成金制度には以下のようなものがあります。
経営継続補助金
農林漁業者が新型コロナウィルスの影響を乗り越え、経営を継続することができるよう創設されました。購入金額に対する3/4が補助対象となり上限100万円までが対象です。
新型コロナウィルス感染症の影響を克服するため、感染拡大防止対策を行いつつ、販路や生産などの経営を継続していく農林漁業者の取り組みを支援する補助金です。
補助金の対象者は以下の方です。
・農林漁業者(個人・法人)※常時従業員数が20人以下
ドローンの場合は、接触機会を減らす生産への転換に関する経費として補助金対象になります。
旭テクノロジーでは農薬を自動散布してくれる完全自律飛行の農業用ドローンを取り扱っております。他メーカー様の機器の納品が遅れそうで事業実施期間に間に合わず困っている場合でも柔軟に対応させて頂きます。ご不明な点に関しては、こちらからお問合せください。
強い農業・担い手づくり総合支援交付金
農林水産省が国家予算から割り振る農家向けの補助金制度です。制度内にいくつかのタイプがありますが、農薬散布用ドローンの利用に関連するタイプとして、2つを解説します。
1つ目は「地域担い手育成支援タイプ」です。農業用の機械や施設を、融資を活用して導入する場合にサポートとなる補助金です。補助率は融資残高(事業費の10分の3以内)で、補助金の配分額は上限300万円です。
2つ目は「先進的農業経営確率支援タイプ」です。地域担い手育成支援タイプよりも条件が厳しくなりますが、個人で上限1000万円、法人なら上限1500万円が配分されます。
※補助率は融資残高(事業費の10分の3以内)で地域担い手育成支援タイプと同じ
毎年3月ごろより事業者の公募が始まるので、交付を希望する方は農林水産省のホームページをチェックするようにしましょう。
産地パワーアップ事業
農林水産省によって実施されているもう一つの補助金制度です。地域農業再生協議会などが作成する“産地パワーアップ計画”に参加する農業者、農業者団体などを対象にしており、取り組みの一つである「高度性能機械の導入」を利用することで、農業機械のリース導入や取得の際に本体価格の1/2 以内の補助を受けることができます。さらに詳細な内容については公式ホームページにてご確認ください。
ものづくり補助金
中小企業庁が制定している、中小企業や小規模事業者などが利用できる補助金制度で、今後複数年にわたり相次いで直面する制度変更(働き方改革や被用者保険の適用拡大、賃上げ、インボイス導入など)に対応するために必要な設備投資などを支援するものです。
生産性向上のための設備投資を促すことも目的に含まれているため、農業も対象になりますが、補償対象となる事業は毎年変わる可能性があるため、申請の際は公募要領を確認しましょう。設備導入の際に、中小企業なら1/2以内、 小規模事業者であれば 2/3(どちらも上限1000万円)までの補助金を受けることが可能になります。
他の補助金や助成金よりもややハードルが高く、申請の際には事業計画書を提出して、一次・二次審査をクリアしなければなりません。採択される割合は毎年40%前後と言われていますが、受けられる金額も多いので積極的に申請してみるのが良いでしょう。
人材開発支援助成金
厚生労働省が行っている助成金制度で、職業訓練を実施する事業主などに対し、訓練経費や訓練期間中の賃金の一部を助成するなどにより、企業内の人材育成を支援するものです。
基本的に本助成金を申請できるのは法人のみとなっており、支給対象事業主及び事業主団体などは雇用保険適用事業所であることが必要です。また申請者は正規雇用されている労働者が対象なります。制度内に2つのコースがあり、それぞれ対象者・対象条件・助成金額が異なります。こちらのページにて詳しい解説をしておりますのでご確認ください。
以上が農薬散布用ドローンでできる代表的な補助金・助成金です。毎年、制度ごとに内容の変更などが発生しますので、申請の際には必ず、最新の内容を確認するようにしましょう。
農薬散布用ドローンを使うならドローンスクールジャパン!
農薬散布用ドローンに利用できる便利な補助金・助成金をお伝えしました。この記事が、現在、初期費用の問題からドローンの導入に悩まれている方の後押しになれば幸いです。
ドローンスクールジャパンでは農業用ドローン「EA2020」を使った農業従事者向け専門のコースを設けており、受講者は、修了後すぐに「EA2020」による農薬散布を行うことができるようになります。農薬散布用ドローンの購入などもできるので、よりスムーズにドローンの導入が可能になります。