今日は「農薬散布ドローン」についてお話したいと思います。
従来、農薬散布は噴霧器や管理機などで行われており、広大な農場になるとラジコンヘリが使用されています。
そこで近年、新しく登場し、注目を集めているのが「農薬散布ドローン」です。
「農薬散布ドローン」の特徴
では、この農薬散布ドローンの何がいいのか?ということで、そのメリットを見ていきましょう。
その1 自分の好きな日に散布ができる
農薬散布ドローンは、どのような方でも操作がしやすい設計になっているため、防除作業者に委託せず、自分が実施したい日に散布を行えるようになります。
その2 防除業者に依頼ができなかった中山間部でも散布ができる
従来なら防除業者から断られた中山間部や狭小部でも農薬散布ドローンなら小回りが利くため、散布が可能です。
その3 軽トラックに一人で積み込みができ、管理機の整備や積み下ろしの負担から開放される
基本的な農薬散布用ドローンでは重量が15kg未満と軽く、軽トラックに積み込みが可能です。また折りたたみが可能なモデルもあることから、女性やご年配の方でも取り扱いがしやすくなっています。
その4 費用が安い
従来、農薬散布用のラジコンヘリだと機体が約1300万円ほどしていましたが、ドローンの場合、機器単体ですと大体200万円ほどで購入可能です。
その5 狭い圃場向き
飛行騒音が比較的小さく、近所に迷惑をかけにくいこと、また操縦が容易で小回りが利くため、狭い圃場に向いています。
さらに。
弊社で取り扱いのある農薬散布ドローン「DJI AGRAS MG-1」の場合、
・ミリ波レーダーを搭載しており、作物と一定距離を保ったまま散布が可能
・自律飛行機能が付いているため、今後の自律飛行解禁に合わせてすぐに利用可能
・モーター部に冷却システムが搭載しているため、機体が長持ちし、長期間の運用が可能
などの機能も搭載しています。
すなわち、農薬散布ドローンは現在最も運用が行われている噴霧器や管理機などの小~中規模農地はもちろん、ラジコンヘリなどで散布がされている広大な農場にも対応できる優れた特徴を兼ね備えているのです。
農作業における悲しい真実
このようなテクノロジーを活用した農業の活用が徐々に広がってきている中、実は、あまり知られていない悲しい事実があります。
それが、農作業による死亡事故が毎年多発しているという事実です。
農林水産省のデータを参考にすると、平成27年度の農作業死亡事故数は338件。
そのほとんどは「農業機械作業」によるものです。
機種別で見ると、「乗用型トラクター」による事故が最も多く、101件(農作業死亡事故全体の29.9%)。
次いで「農用運搬車(動力運搬車、農業用トラック等)」が25件(7.4%)、「歩行型トラクター」が21件(6.2%)と、これらの3機種で農作業死亡事故全体の43.5%を占めています。
また、乗用型トラクターでは、「機械の転落・転倒」が72件(当該機種による事故の71.3%)と最も多く、歩行型トラクターでは、「挟まれ」が11件(52.4%)、次いで「回転部等への巻き込まれ」が7件(33.3%)となっています。※参照:農林水産省HP(https://goo.gl/hA4TnY)
このように、毎年のように起こる農作業死亡事故を一刻も早く防ぐことが急務となっており、事故を未然に防ぎ、安全に農作業を行う上でも、取り扱いがしやすいドローンの利用が不可欠です。
少しでも農作業における負担を減らし、農作業の効率化を行っていくことが、これからの時代に求められているのですね。
それでは次回、農薬散布の次のステップとも言える「精密農業」についてお話したいと思います。