精密農業は食料危機を乗り越えるための最新の農業!
ドローンを活用した農業については様々お話ししてきましが、今回はさらに「農業×ドローン」の業界でよく話題にのぼる「精密農業」について詳しくご紹介していこうと思います。ドローンのビジネス活用の分野においては、農業を語らずして全体像を語ることができないほど、中心的な存在となっています。ぜひ、ドローンに興味を持つ方には、知っておくだけでも農業への活用技術等を知っておいていただきたいと願います。
1-2-2.食料自給率をあげるための取り組みとしての「精密農業」
1.精密農業
ドローンなどと関わりが無ければ、あまり聞きなじみのない言葉かもしれませんが、農業分野でドローンを活用しようとする業界では、精密農業はよく話題にのぼります。これは、ある時代から使われるようになった言葉で、それは非常に最近のことです。さて、精密農業とは一体どういう農業なのでしょうか?
1-1.精密農業とは一体何か
これは、農業の管理手法の一つで、2000年代に入ってから使われるようになった言葉です。農地や農作物の様子や状態をしっかり観察し、データを取得し、細かな管理の下で農作物の収穫量や品質の向上をはかっていく管理方法で、さらにトータルのデータを基にして翌年の計画を立てるというきめ細やかな手法となっています。
ただし、これは専門的な分野では「精密農法」と呼ばれる作物の管理方法と分類される場合があります。こうなった時、精密農業はまた違ったニュアンスで捉えられます。ルーツが異なるということもありますが、こういった場合の精密農業はどちらかというとアメリカなどの大規模農業を維持管理するための経営管理を指します。
しかしながら、日本ではこの言葉の利用に際して、厳密な区分はせず語られることが多いです。精密農業とは、管理方法であるということを押さえておいてください。
1-2.精密農業はなぜ必要となったのか
農業というのは、人類の歴史と共に発展してきた文化であり職業であり、生命を支える生産活動です。精密農業という概念自体は、2000年代に出てきたというお話しをしましたが、なぜそのようなことになったのでしょうか。これを読み解くためには、日本だけでなく世界の食料事情にも目を向けなければなりません。
1-2-1.実感のない食料危機
まず、普通に暮らしていて到底実感が沸かないと思いますが、食糧危機についてはかなり昔から言及されてきています。今の日本人が食料危機を感じるのは難しいとは思いますが、世界まで視野を広げるとそこかしこで様々なことを原因として食力危機が常に起きています。
その一つの要因としては、人口が増えていることです。これによって、食糧の需要が増えていますね。ところが、グローバルな視点で見ると農地は減少傾向にあります。
つまり、単純に考えると生産量が減っているのです。農地の減少にはそれぞれの理由がありますが、例えば都市化や工業化を起因とした農地開発、あるいは干ばつや洪水などの自然現象による農地の悪化などがあります。大きな視点で見ると、このような形で食料危機は起こっています。
世界の中でも小さな島国である日本に目を向けるとどうでしょうか?食べ物に困るようなことはありませんよね。一体どこに食料危機が潜んでいるのでしょうか。それは、食糧自給率の低さにあります。令和元年度の食料自給率について確認しておきましょう。
・食料自給率…38%
・飼料自給率…25%
この数字だけを見ると、要するに日本の食料は半分以上を輸入に頼っていることがわかります。特に飼料自給率は25%とかなり低いですよね。日本で育てる家畜ですが、食べる物は外国産であって輸入に頼っているわけです。これはなぜかというと、単純に外国産の方が安いからです。さて、ここで浮上する問題が「もし輸入ができなくなったらどうするのか」ということです。そうなると、一気に食糧危機に陥ることは明白ですよね。そこで、日本は食料自給率をあげるために様々な取り組みをしているのです。
画像出典:農林水産省「令和元年度食料自給率について」
https://www.maff.go.jp/j/zyukyu/zikyu_ritu/attach/pdf/012-16.pdf
1-2-2.食料自給率をあげるための取り組みとしての「精密農業」
日本でも、農地の減少や農家の離農が進んでいて、10年後を考えるとさらに生産力が落ちると予想されます。したがって、求められるのはいかに少ない人力でたくさんの農作物を生産するかということになりますよね。これが、いわゆる精密農業が求められる最たる理由となります。
国としては、現在の食料自給率を令和12年度には45%まで引き上げることを目標として数値を出しています。資料自給率の目標値は34%です。令和元年度と比べると、それぞれ7%、9%も上げることになります。このため、政府は様々な取り組みを始めています。その中に、以前ご紹介したスマート農業の推進や今回触れた精密農業の推進が含まれているわけです。もちろんそれだけではありません。
農林水産省の公式サイトでは、「食料自給率向上に向けて重点的に取り組むべき事項」としてたくさんの項目をあげています。詳しくは下記サイトをご覧になってみてください。
https://www.maff.go.jp/j/wpaper/w_maff/h19_h/measure/m_1_01.html
1-3.精密農業において必要な物
さて、先ほどの精密農業の流れを簡単に箇条書きすると、以下のようになります。
・データの取得
・データの解析
・データを基にした実践
・データの見直し
大まかに分けてこの4つの工程が必要となりますが、これをするためにすべてを手作業で行っていては途方に暮れてしまいますよね。特に、広大な農地で農作物の様子を一つ一つ観察していては、時間がいくらあっても足りません。みなさんはもうおわかりだと思いますが、ここで活躍するのが「ドローン」などのICT機器なのです。
2.スマート農業と精密農業のちがい
さて、ここまでお話しすると以前から触れている「スマート農業」と精密農業は一体何がちがうのかという疑問が出てきますよね。一体なにがちがうのでしょうか?
2-1.スマート農業と精密農業は大きくちがいはない
結論から申し上げますと、実はどちらも同じ意味で使われる場合があります。厳密に言うと、全く同じものではありません。イメージとしてはスマート農業の中に精密農業が含まれるという形でしょうか。
そもそも、精密農業の捉え方が時と場合や国などによって様々であるため、スマート農業と精密農業を厳密に区別しようとすると、精密農業の捉え方について詳しく言及していかなければなりません。農林水産省の施策の中で触れられる「スマート農業」では、基本的に精密農業も含まれており、同一化されていると捉えて問題ありません。
3.精密農業は生産性と品質の向上だけではない
ここまで、精密農業の生産性向上と品質向上の視点でお話をしてきましたが、精密農業による効果はそれだけではありません。ICT機器を使った効率的なデータ採集と分析、実践によって適切な作物の栽培を行うことができるようになります。
これによって、環境負荷が軽減するという効果もあるのです。作物にも適材適所がありますので、当然土壌に合ってない作物を育てれば、土壌にも負荷がかかりますし作物にも良くはありません。
こうした環境負荷の問題をも解決することができるのが、精密農業ということなのです。
むしろ、こうした精密農業をもっと効率的に進めるためにはどうしたらよいのかという視点で、農業用ICT機器が発展していっていると言っても過言ではありません。
ですから、精密農業の延長線上にスマート農業があるという捉え方もできますね。
今後の日本には必要不可欠な農業分野の新技術。
皆さまも、ドローンが課題解決に直接的に活用できることを知っておいていただきたいと願います。
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