小型無人機等飛行禁止法とは?100g未満のドローンも要注意
※2022年6月20日からドローンの登録制度が始まります。100g以上のドローンはすべて規制の対象となるのでご注意ください。
>>関連記事:100g以上のドローンの登録制とは?規制の内容と義務化の背景とは?
ドローンのルールには「航空法」以外にも「小型無人機等の飛行禁止法」というものがあります。
これは2016年4月7日に施行された法律で、国が定める重要施設付近でのドローンの飛行を禁止するものとなっています。
航空法は何かと有名ですが、この「小型無人機等飛行禁止法」は正直、少しマイナーと言えばマイナーな法律と言えるかもしれません。
しかし、この法律では100g未満のドローンにも適用されるため、場所によっては知らずに法律違反を侵してしまう可能性が高い法律とも言えます。
そこで今回は、この「小型無人機等飛行禁止法」について、簡単に解説していきたいと思います。
※なお、「航空法」については、こちらで詳細を解説していますので、法律の内容を知らない方は、こちらも確認しておいてください。
小型無人機等飛行禁止法とは?
本法律の正式名称は「国会議事堂、内閣総理大臣官邸その他の国の重要な施設等、外国公館等及び原子力事業所の周辺地域の上空における小型無人機等の飛行の禁止に関する法律(平成28年法律第9号。以下「本法」という。)」と言います。
要するに、国が指定する重要施設とその周辺でのドローンの飛行を禁止するもので、具体的には対象施設の敷地、又は区域、及びその周囲おおむね300メートルの地域の上空においては、小型無人機等の飛行を禁止しています。
もし対象エリア内で飛行を行ったり、警察官による機器の退去や、その他必要な措置に関する命令に違反した者は、1年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処せられます。
本法律の対象は?
本法の対象となる「小型無人機等」は以下の通りです。
・小型無人機
→いわゆるドローンのことです。構造上人が乗ることができないもののうち、遠隔操作又は自動操縦により飛行させることができるものです。
・特定航空用機器
→人が飛行できる気球やハンググライダー、パラグライダーなどが該当します。
この法律の中で、特に注意したい点が、対象を「小型無人機」としている点で、航空法のように「100g以上の無人航空機」に範囲を限定していないことです。
そのため、100g未満のドローン(いわゆるトイドローンやホビードローンなど)も本法律には対象となりますので、飛行させないように注意が必要です。
本法律が対象外となるケース
上記のように、法律の対象が規定されていますが、以下のような場合は、本規制は対象外となります。
・対象施設の管理者に同意を得た場合
・飛行させる土地の所有者若しくは占有者か、その同意を得た者が飛行させる場合
・国又は地方公共団体の業務で飛行させる場合
上記に該当する場合は、事前に、飛行させるエリアを管轄する警察署を経由して、東京都公安委員会に通報する必要があります。
警察署への通報には、飛行を行う48時間前までに、所定の通報書を提出します(災害や緊急時などは口頭での通報も可能)。
※参照:飛行を行う場合の手続き
小型無人機等飛行禁止法の対象エリア
小型無人機等飛行禁止法では、主に「国会議事堂」や「内閣総理大臣官邸」「外国公館」「原子力事業所」とその周辺地域が飛行禁止空域に定められています。
詳細は、警視庁のサイトでまとめられていますので、確認するようにしましょう。
ちなみに、周辺地域の指定では、番地単位で行われており、指定された区域(青色区域)と300mの範囲(点線の区域)では必ずしも一致しませんので注意してください。
小型無人機等飛行禁止法の対象エリア例
(1)国の重要な施設等
・国会議事堂、議員会館、衆参両院議長公邸など
・総理官邸、総理及び官房長官公邸など
・危機管理行政機関(内閣官房、内閣府、国家公安委員会、各省庁)
・最高裁判所
・皇居及び東宮御所
・総務大臣指定の政党事務所(公明党、自由民主党、日本共産党、民進党)
(2)対象外国公館等
外務大臣指定の外国公館等
(3)対象原子力事業所
以下の国家公安委員会指定の原子力事業所
・北海道電力株式会社 泊発電所
・東北電力株式会社 東通原子力発電所、女川原子力発電所
・東京電力ホールディングス株式会社 福島第一原子力発電所、福島第二原子力発電所、柏崎刈羽原子力発電所
・中部電力株式会社 浜岡原子力発電所
・北陸電力株式会社 志賀原子力発電所
・関西電力株式会社 美浜発電所、高浜発電所、大飯発電所
・中国電力株式会社 島根原子力発電所
・四国電力株式会社 伊方発電所
・九州電力株式会社 玄海原子力発電所、川内原子力発電所
・日本原子力発電株式会社 東海第二発電所、敦賀発電所
・国立研究開発法人日本原子力研究開発機構 高速増殖原型炉もんじゅ、原子炉廃止措置研究開発センター
・日本原燃株式会社 再処理事業所
・国立研究開発法人日本原子力研究開発機構 核燃料サイクル工学研究所、大洗研究開発センター
なお、東京都においては、対象施設の全体図がありますので、こちらが分かりやすくなっています。
また、対象となる施設は、サミット等の国際会議により、期間限定でその会場と周辺地域においても、小型無人機等の飛行が禁止されるものがあります。
会場がある地方公共団体が条例で飛行禁止を行う場合もありますので、都度警察庁のWebサイトより確認するようにしましょう。
まとめ
航空法と合わせて覚えておきたい「小型無人機等の飛行禁止法」についてご紹介しました。
さすがに、今回のような指定場所で飛行させる機会は、あまりないかと思いますが、周辺禁止エリアが300mと広いため、その近くで飛行させる場合には注意が必要です。
ぜひ今後の飛行エリアにおいては、注意が必要な法律であることは、覚えておいてくださいね。
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