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近年、水中ドローンの注目度が高まっています。漁業や水中インフラなど、さまざまなシーンで活用が期待されているためです。この記事では、水中ドローンを活用したい、資格を取得したいという人に向けて水中ドローンの概要を解説します。資格は必要なのか、水中ドローンの注意点なども解説するため、ぜひお役立てください。
目次
1.水中ドローンとは
水中ドローンとは、小型無人潜水機の通称です。水中ロボットの1種として、海中の生物の調査やインフラ設備の点検などに使用されます。また、ダイバーが近づけない深海の探索や、危険な水域での作業、水中のレジャーなど幅広い活動も可能です。
水中ドローンは、操縦者が船上や陸上から遠隔操作で機体の操縦をするものです。カメラやセンサーを搭載しており、リアルタイムで水中の映像を確認できます。ただし、水の中では電波が伝わりにくいため、ドローンに有線を繋いだ状態で使用します。
ROV・AUVとの違い
ROVは「Remotely Operated Vehicle(遠隔操作型無人潜水機)の略です。機体とコントローラをケーブルで繋げて、人が遠隔で操縦します。一般的に「水中ドローン」はROVを指しますが、明確な定義はありません。AUVは「Autonomous Underwater Vehicle(自律型無人潜水機)」の略です。機体にはケーブルを繋がず、全自動で行動できます。
ROVの1機あたりのコストは、趣味用や産業用まで幅広い価格帯が特徴です。AUVは国の事業や研究調査などで活用されており、1機あたり数千万円〜数億円のものがあります。
2.水中ドローンに資格や免許は必要?
水中ドローンの使用に、資格や免許は必要ありません。法律上では、水中ドローンに規制がないためです。個人の趣味で水中ドローンを使用する際は、自由に操作を楽しめます。民間資格には、水中ドローン安全潜航操縦士をはじめとした資格があります。
水中ドローンは操作も簡単で、安定した潜航を保てます。高性能な制御装置を搭載しており、初心者でも操作しやすい点が特徴です。しかし、ドローンを安全に操作するための技術と知識は必要です。
※関連記事 ドローンでの点検に資格は取得するべき?ドローンでの点検の基本情報などと合わせ解説
3.水中ドローン安全潜航操縦士資格とは
水中ドローン安全潜航操縦士資格は、一般社団法人日本水中ドローン協会が策定したドローンの民間資格の1つです。この資格は、水中事業にドローンを活用するために、技能と知識を持った水中ドローン人材の育成を目的としています。独自の研修・受講プログラムで学べるのは、安全に関する基礎知識や基本操作、法令順守、撮影テクニックなどです。
ここでは、水中ドローン安全潜航操縦士資格について解説します。
水中ドローン安全潜航操縦士資格を取得する方法
水中ドローン安全潜航操縦士資格は、「水中ドローン安全潜航操縦士認定講習」を受講して取得できます。この資格は、水中ドローンの機能を熟知し、安全に操縦できるレベルと認定されるものです。協会独自の研修・受講プログラムでは、1日で座学・実技実習・筆記試験を実施します。
講習が終わった後、水中ドローンのライセンスカードと修了証が与えられます。講習の時間は、座学と実技どちらも2時間半の合計5時間です。
資格取得にかかる費用の目安
水中ドローン安全潜航操縦士資格取得する費用は、10万円程度です。費用はスクール入会金、講座受講料、ライセンス発行費用などがかかります。ライセンスの有効期限が2年間で、更新時に費用として1万円を支払います。ライセンスを更新する際は、テストを再度受けて合格する必要があります。
4.水中ドローンの主な活用シーン
水中ドローンは漁業やインフラ、映像制作まで幅広く活用できます。ここでは、主な活用シーンを解説します。
漁業・水産業
水中ドローンは、養殖の生育チェック、水中ゲージ・ネットの監視などに活用できます。また、水質調査や魚病の早期発見、魚の行動観察も可能です。従来、それぞれの作業はダイバーが行っていました。水中ドローンを使用すると生簀の内部を可視化し、作業にかかる負担やコストを大幅に削減できます。
インフラ点検
水中ドローンによって、老朽化が進んでいるダムや貯水池などのインフラ点検ができます。ドローンは定期検査も安全に実施できるため、水中パイプラインやケーブル検査、沿岸建築構造にも活用が可能です。本来、水中インフラの点検には、多くの人手や費用が必要でした。水中ドローンを使用すれば、安全かつ作業量を減らして点検ができます。
捜索・救助
水中ドローンは、捜索や救助にも役立ちます。水中の監視や要救助者の先行捜索、水難事故の調査など、さまざまな用途で活用できます。水中は視界が遮られる場合がありますが、高度なカメラを搭載したドローンであれば撮影が可能です。危険な水域も探査できるため、ダイバーの負担の軽減にもつながります。
映像制作
水中ドローンは、映像制作にも活用できます。水中カメラによって、映画やドキュメンタリー、自然観察番組などのシーンの撮影が可能です。従来の方法では、水中でカメラマンが撮影をしており、事故で亡くなったり、行方不明になったりするリスクがありました。水中ドローンがあれば、それぞれのリスクを抑えて安全に撮影できます。
釣り
釣り向けの水中ドローンは、「魚群探知機能」や「給餌機能」などを活用できます。それぞれの機能によって、魚群を探知してエサを撒けます。水中のカメラによって、目視確認も可能です。魚群の位置や種類を特定し、よく釣れるポイントを探しやすくなるでしょう。水中ドローンは、効率よく釣りをする際におすすめです。
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5.水中ドローン活用の注意点
水中ドローンを活用する際は、法律や運用のルールを把握することが必要です。ここでは、活用する際の注意点を解説します。
水中ドローン活用に際して関係機関に確認する
2024年時点では、水中ドローンに関する法律や規制はありません。しかし、水中ドローンを利用する場所によっては、「港則法」や「海上交通安全法」などの法律が関わる可能性があります。また、環境保護区をはじめとした特定の場所で使用する際も、事前に許可が必要な場合があります。
水中ドローンを使用する際は、関係機関への確認が必要です。港や海上で使用する場合は海上保安庁、河川で使用する場合は管轄の河川事務所などに連絡をしましょう。プライバシーや安全確保を考慮し、状況によっては使用を控えることも大事です。
今後の動向をチェックする
今後、水中ドローンの法整備が進むことが予想されます。2024年現在は、法律や運用ルールが整備されていない部分が多くあります。水中ドローンは空を飛行するドローンに比べて、実務的に運用する開発が進んでいる途中であるためです。国土交通省や日本水中ドローン協会などのホームページを随時チェックし、動向を見落とさないように注意しましょう。
6.ドローン操縦の基礎を身につけることが重要
ドローンの操縦には、専門知識と技術が必要です。それぞれを身につけるには、ドローンスクールでプロの講師から学ぶのがおすすめです。以下に、ドローンスクールのメリット・デメリットを解説します。
7.ドローンスクールで受講するメリット
ドローンスクールは、技術や知識の習得以外にも利点があります。ここでは、受講や資格取得のメリットについて解説します。
専門知識・技術を身につけられる
ドローンスクールでは、ドローンの構造や動かし方、メンテナンスの方法など、幅広い知識を身につけられます。未経験者でも、資格を取得するための基本知識を網羅して学べます。ドローンスクールのプロの講師からの直接指導で、効率的に知識・技術の習得が可能です。独学とは違い、最短で知識や技術を習得できます。
社会的な信頼が得られる
ドローンスクールで専門の資格を取得すると、客観的に技術を証明できます。国家資格を取得できるスクールを卒業すると、社会的な信頼を得られるでしょう。ドローンの飛行には、資格が必要な場面があるため、スクールを卒業するメリットは大きいといえます。特定の資格を取得すると、許可や承認の省略・簡略化ができます。
ビジネスでアピール材料になる
ドローンスクールを卒業すれば、高度な操縦技術を持つことを証明できます。ドローンの技術は、さまざまな業界で求められているため、アピールできる材料となります。資格を取得することで、就職・転職活動の際や営業活動の際もアピールできるでしょう。ドローンの資格を所持し、操縦ができると幅広い業界で活躍しやすくなります。
8.ドローンスクールで受講するデメリット
ドローンスクールを受講する際は、受講費や期間が必要です。ここでは、受講するデメリットを解説します。
費用がかかる
ドローンスクールは、受講する際にある程度の費用がかかります。コースによって受講する費用は異なりますが、独学よりも費用の負担が大きい点に注意しましょう。お金を払ってプロから学びたい人は、スクールを受講することをおすすめします。
時間が必要である
ドローンスクールでは、講座を受講する時間が必要です。受講時間だけでなく、スクールまでの移動時間もかかります。座学や実技、試験勉強の時間を確保したうえで、受講することをおすすめします。しかし、ドローンスクールは技術・知識が効率的に身につけられる点がメリットです。
9.まとめ
水中ドローンの資格としては、水中ドローン安全潜航操縦士の資格があります。水中ドローンは漁業や捜索、インフラ点検などで活用できますが、まずは基本的なドローンの操作を学べるスクールを受講して資格を取得することをおすすめします。