ドローンの使用目的は幅広く、屋内や屋外を問わず使用されることが増えてきました。近年は、太陽光パネルの点検にもドローンが活用されています。この記事では、ドローン導入や資格取得を考えている人に向けて、ドローンを太陽光パネル点検に使用するメリットや注意点、費用の目安などを解説します。
目次
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1.ドローンを使用した太陽光パネルの点検とは
ドローンによる太陽光パネル点検とは、ドローンを使用して、熱検知カメラや一般的なカメラで空撮する点検のことです。従来は、人の手で点検を行っていたため、点検期間が長く高額な費用が必要でした。ドローンを点検に用いられるようになり、広範囲の点検が可能になり、定期的なメンテナンスがより手軽にできるようになりました。
2.ドローンで太陽光パネルを点検するメリット
ドローンを使用した太陽光パネルの点検には、多くのメリットがあります。6つのメリットを解説します。
少ない人員で作業を行える
人が関わる作業は、太陽光パネルになにか異常が発生した時だけとなり、点検作業を少人数で行えます。従来の点検方法では、大規模な太陽光パネルの場合、10人を超える人員が必要です。さらに、ドローンでの点検に熱検知カメラを使用することで、温度が高くなっている箇所が異常発生の目安にすることができ、専門知識がなくても、異常の有無を判断できるようになりました。
撮影した写真や映像は、遠方への送信も可能であり、ドローンを現場に飛ばす以外の人員は、確認作業のみでよいことも特徴です。
作業時間の短縮につながる
ドローンを使用することで、広範囲の点検が可能になるため、従来よりも作業時間の短縮につながります。ドローンでの作業はGPSをもとに航行を行うため、大規模施設でも最短ルートで空撮ができます。ドローンの操作テクニックに左右されることはありません。屋根の上や高所、山奥などの点検を、1日に3~4つの現場で可能になるケースもあるでしょう。
点検費用が安い
ドローンでの点検では多くの人員は不要なため、人件費削減につながります。従来は、人が太陽光パネルを1枚1枚点検していました。ドローンでの点検が導入されたことで、定期的な点検がより安定して実施できます。早期に異常を見つけられる確率が上がるため、修理費用を抑えられるでしょう。点検頻度を増やしたとしても、長期的に考えると費用削減になります。
精度の高い点検ができる
上空からの見晴らしのよい映像を用いて、精度の高い点検が可能です。従来の地上からの点検では、見づらい箇所がありました。ドローン点検は、広範囲の撮影だけではなく、太陽光パネルに接近して撮影ができます。人の目では見つけられない難しい箇所や、より細かい状況の把握に役立ちます。
簡単に点検履歴を確認できる
ドローンを使用して太陽光パネルを空撮し、空撮映像自体を点検履歴として保存することが可能です。近年は、ドローン点検に使用できるカメラの種類が豊富に揃っており、俯瞰画像や赤外線画像などのデータを、必要に応じて取得できます。デジタル写真のような記録も残せるので、点検日時や場所などの履歴も確認しやすいでしょう。
作業を安全にできる
高所に設置された太陽光パネルでも、安全に点検することが可能です。ドローン点検は、地上からの操作のみで可能なため、安全性が確保されます。破損している太陽光パネルは、手で触れると感電する危険性があります。しかし、手で触れなくても異常個所を見つけられるため、災害後においてもドローンによる点検が役立つと考えられています。
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3.太陽光パネル点検が必要な理由
太陽光パネルは、長期的に使用すると性能劣化や異常が発生します。定期的な点検により、発電効率の低下を防げるだけではなく、異常の早期発見が期待され発電量の維持につながります。また、突発性な異常が発生すると発電効率もさらに低下するため、注意が必要です。
ドローンによる太陽光パネル点検で発見しやすい異常
ドローンによる太陽光パネル点検で発見できる主な異常は、以下のとおりです。
- ・表面上の破損や汚れ
- ・内面の破損
- ・パネル周辺の状態
それぞれの異常について解説します。
表面上の破損や汚れ
太陽光パネルは、ガラスの汚れや破損が発生することがあります。カメラ搭載のドローン点検であれば発見が可能です。ドローンは小回りが効くため、1台のパネルによった画像撮影やパネル全体の撮影などもできます。
内面の破損
太陽光パネルの内面は、コネクターの異常や抜けなどで破損につながります。コネクターに異常がある場合は、太陽光パネルの温度が低下し、赤外線カメラでは高温で示されます。そのため、容易に判別が可能です。内面の破損は目視ではわかりにくく、ドローンによる点検で的確にわかります。
パネル周辺の状態
太陽光パネルの設置周辺の点検もできます。航空写真を使用すれば、土砂崩れや落石などの危険性もわかります。パネル周辺を含めて定期的に確認しておくことで、日本で多く発生する災害を未然に防げる可能性もあるでしょう。
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4.ドローンによる太陽光パネルの点検方法
ドローンによる太陽光パネルの点検には、主に3つの方法があります。それぞれの方法について解説します。
位置情報とアプリを連携させた自動航行
ドローンに位置情報や専用アプリを連携させることで、自動航行による作業軽減が期待できます。GPS機能を利用すれば、最適で最短な飛行ルートを設定できます。操縦者のテクニックによって点検制度が下がることはありません。ドローンを手動飛行にすると、固定箇所のより細かい確認も可能です。
赤外線カメラによる点検
赤外線カメラは、温度検知による経年劣化の発見に役立ちます。ホットスポットやフィルタの目詰まりなどが発生すると、太陽光パネルの温度異常が起こるため、わかりやすいでしょう。赤外線カメラを使用して、上空から広範囲の温度測定をすることで、異常を見つけやすくなります。
空撮映像による確認
ドローンは、光学カメラによる空撮映像により、周囲環境における異常の発見が可能です。雑草や鳥の糞などの被害も見つけられます。上空から光学カメラの映像を使用することで、周囲環境も含めて観察ができ、点検の効率が上がります。
5.ドローンによる太陽光パネル点検周りの費用目安
太陽光パネルのメンテナンス費用の目安は、以下のとおりです。
メンテナンスの詳細 | 費用目安 |
住宅用太陽光パネル | 4年に1度で5~10万円ほど |
産業用(50kW未満)太陽光パネル | 年間10~30万円 |
産業用(50kW以上)太陽光パネル | 年間100~200万円 |
住宅用太陽光発電は、初期費用にメンテナンス費用が含まれるケースが多いです。個人で太陽光パネルの点検を依頼することは、少ないといえます。しかし、固定価格買取制度を適用していたり、50kW以上搭載の太陽光を使用していたりすると、メンテナンスが義務化されているため注意が必要です。
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6.ドローンによる太陽光パネル点検の注意点
ドローンによる太陽光パネル点検は、点検時の日射強度や気温により、点検状況が左右されます。ドローンは、強風や大雨では飛行させることはできません。赤外線カメラでの点検の場合は、晴天日に行う必要があります。そのため、余裕を持ったスケジューリングが必要です。また、安全に点検作業を行うためには、ドローンの操縦の経験と技術が必要不可欠です。
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7.まとめ
ドローンによる太陽光パネルのメンテナンスは、コストや人員、手間の削減につながります。屋外に設置している太陽光パネルは、不具合が発生するケースが多く、定期的な点検が必要です。赤外線や可視カメラの使用も視野に入れ、太陽光パネル点検に備えましょう。点検だけではなく、災害時の運用にも役立ちます。
旭テクノロジーでは、プラント事業からスタートした長年の経験を活かし、法人へのドローン導入支援や、構造物の点検サービスを行っています。現場で課題を感じられている方は、お気軽にご相談ください。