葉色解析サービス「いろは」とドローンの可能性とは?
スマート農業促進の中で、需要が高まるドローンと、そのドローンと一緒に使える技術も日々進化をしています。その中から、今回は葉色解析サービス「いろは」とドローンの掛け合わせによる可能性について、ご紹介していこうと思います。
1.葉色解析サービス「いろは」とは
葉色解析サービス「いろは」は、あっと驚く最先端のテクノロジーを持つシステムといえるでしょう。早速、そのサービスについて詳しく内容を見ていきましょう。
1-1.葉色解析サービス「いろは」の概要
株式会社スカイマティクスによって、2017年にリリースされた葉色解析サービス「いろは」は、スマート農業においてドローンと組み合わせて活用することで、様々な効果を生み出す優れたサービスです。
ドローンで撮影した画像を解析して、農地や作物の生育状況を見える化し、そのデータを管理・解析、そして共有できるクラウドサービスを、「いろは」と呼びます。既に販売されている様々なタイプのドローンと組み合わせて使うことのできるという手軽さもあり、実は「いろは」を活用してスマート農業に取り組む農家は増えています。
1-2.葉色解析サービス「いろは」の特色
「いろは」ができることには、どんなものがあるのでしょうか?
・ドローンで撮影した画像を圃場の位置情報をもとにマッピング。
・生育状況をデータ化し、蓄積、保存。
・圃場内の生育ムラをカラー化し、視覚化。
・オルソ補正を利用した圃場の地図の作成。
・DSMを利用した圃場の工程さの把握。
農業に携わっていなければ、上記の特色がどれほど意味のあるものなのか、わからないかもしれません。これについては、後の項目でご紹介いたしますが、ここではもう少し「いろは」の存在意義について補足を交えながらご説明をしたいと思います。
「いろは」の機能を利用して、具体的にどのようなことができるのでしょうか?まず、圃場の画像をドローンで撮影し、その画像を解析して雑草が多くなっている部分を見つけることができます。これによって、この部分にのみ除草剤を散布することができるので、除草剤のコストを削減することができるのです。あるいは、撮影した画像から生育不良の作物を見つけ出すことができるため、圃場を歩いて回って確認する、かなりの時間と労力を削減することができます。
さらに、解析機能をしっかり使うと、例えば雑草だけを赤色で表示させることのできる雑草判別マップを作成することができたり、作物の個数や大きさなどを判別して解析し収量予測のデータを作ったりすることもできるのです。
1-3.スマート農業における葉色解析の意味
「いろは」のような技術を使う意味とは一体何なのでしょうか?
これまで農業は、人の目や手に頼る部分がかなり大きくありました。その分、農業に携わる方々は膨大な時間を、良い作物を収穫するために割いてきたわけです。農場というのは、基本的に広大で、その中で育てている作物の量も膨大です。農業従事者が減少傾向にある中で、農業従事者の労働量は計り知れないものとなっていました。
だからと言って、農業は人々の命を直に支える仕事ですから、簡単に投げ出せるものでもありません。そういった古い形の農業から、こうしたシステムを利用したスマート農業への移行によって、農業従事者の肉体的負担や労働時間を削減し、さらに生産性を高めていくことができるのです。
また、直接作物を育てる農家の他にも、恩恵を受けられる人々はたくさんいます。例えば、圃場のデータを研究に生かしたいと考えている機関や試験場などはたくさんあります。こうした研究のためにわざわざ別でデータ取得をする必要がなくなり、日ごろのデータをもとに研究を進められるのです。JAの営農指導員の仕事も同様です。
これまで、圃場に足を運んで直接現場を見て指導をしているという状況でしたが、そういった指導員も労働人口の減少を直接的に受けています。こうした場合、保存されているデータをクラウドから確認することで、直接ではなく遠隔で指導できるようになるわけです。このように、農業に関わる広い範囲での人々に大きな恩恵をもたらすものが「いろは」のシステムなのです。
2.ドローン×「いろは」の可能性
先ほども少し触れましたが、「いろは」は専用のドローンだけではなく既存の様々な会社のドローンと一緒に活用することができます。ですから、既にドローンをお持ちの場合も、そのドローンに合わせて「いろは」を利用できる可能性が高いのです。この特性を利用して、旭テクノロジーでは「EA2020」というドローンを組み合わせることによって、より高度な活用方法を産み出しました。このEA2020については今後に別の記事でご紹介予定ですが、今回少しだけご紹介したいと思います。
こちらのドローンは、EAVISION社という会社によって開発され、ATCLが販売を行っている完全自律飛行ドローンです。このドローンの大きな特徴は、従来よりも正確な位置情報を利用して自律飛行を行うことができるという点です。かなり精度の高い位置情報を利用できるようになったため、これまでよりももっと正確に圃場のデータを捕捉できるようになるのです。また操縦もより簡単になり、スマートフォンで経路を設定して操作すれば、あとはEA2020が自動で仕事をしてくれるという、農家にとってはかなり助けとなる仕様となっているのです。
3.「いろは」の気になる利用料金とは
「いろは」が非常に便利で、農業の未来を明るく照らしてくれるということは実感いただけたかと思いますが、気になるのはその利用料金ですよね。一体どれくらいのコストで、「いろは」を利用できるのでしょうか?
まず、様々な利用形態があるということを前提にして、基本的な料金を確認していこうと思います。
画像出典:https://atcl-dsj.com/drone_service/iroha/
「いろは」を利用するためには、基本的に2種類の料金プランがあります。スタンダードなものは、年間定額プランとなっており、「いろは」を日常的に利用し活用する方たちにとって使いやすいプランとなっています。利用できるストレージ上限も十分あり、また解析オプションも一部ついてきます。一方で従量課金プランは、同じように1年単位の料金となりますが、普段はあまりこのシステムを利用しないが時期によっては使うといった方向けのプランとなります。
このような基本料金に合わせて、オプションメニューが充実しているのも特徴です。オプションは下記の通りです。
・ドローン販売
・撮影代行
・操作、操縦研修
特に初めてドローンを導入するという方にとっては、操作や操縦の研修オプションは必要ですよね。このサービスは、「いろは」のアカウントを取得した方のみが利用できるサービスです。
その他に、いろはに使用には汎用ドローン(mavic2pro、phantom4pro)などが必要で、DPA3級の資格が必須となります。ただし、撮影のみ外注を希望する場合はこの限りではありませんので、詳しくは下記へお問い合わせください。
4.まとめ
今回は、株式会社スカイマティクスの葉色解析サービス「いろは」についてご紹介しました。こういったスマート農業に関わるシステムやサービスは、様々な会社によって開発されておりこれからますます競争が激しくなっていく分野です。今後も、注目されているスマート農業に関わるシステムやサービスについてお伝えしていきたいと考えていますので、ぜひ参考にしていただけましたら幸いです。