【2018年最新】ドローンの「空の産業革命に向けたロードマップ2018」について
ドローンの導入が進む世の中ですが、国として、ドローンの活用に向けた方針を公表しているのはご存知でしょうか。
2015年11月に首相が「早ければ3年以内に小型無人機(ドローン)を使った荷物配送を可能にする」と述べてから、2017年5月には「空の産業革命に向けたロードマップ」というものが官民協議会より作成されることになりました。
ロードマップは、言わば国が考えるドローンの導入における方向性を示すものとなっているため、これを知ることは、今後のドローンビジネスの未来を知ることに相違ありません。
そこで今回は、この度2018年の最新版が公表された「空の産業革命に向けたロードマップ2018」についてご紹介していきたいと思います。
■「空の産業革命に向けたロードマップ2018」とは
国策でもあるロボット政策において、主にドローンなど小型無人機の技術開発の方針を決めるロードマップのことを「空の産業革命に向けたロードマップ2018」と言います。
官民協議会によって作成され、経済産業省より公表されています。
議長は内閣官房内閣審議官が務め、各方面から専門家を招集。
官民一体となって今後のドローンの利活用における課題の洗い出しと開発の指針を定めています。
ロードマップとしては、既に2017年5月に初版が発表されていましたが、2018年になり内容の見直しがあり、2018年度版として新しいロードマップが作成されました。
■ドローンの飛行レベル
まずロードマップで知っておきたいことは、ドローンの飛行形態におけるレベル分けです。
ロードマップでは、ドローンの飛行の状況によってレベル1~レベル4まで分かれており、どの飛行形態がどのレベルに該当するのかを理解しておく必要があります。
レベル1 | 目視内での操縦飛行(マニュアル操作) |
レベル2 | 目視内での自動・自律飛行(オートパイロット) |
レベル3 | 無人地帯での目視外飛行(補助者の配置なし) |
レベル4 | 有人地帯(第三者上空)での目視外飛行(補助者の配置なし) |
尚、ロードマップ上で計画されている、レベル別の具体的な活用時期は以下となっています。
2018年に発表された最新のロードマップを見る限り、現在では既にレベル1~レベル2「目視内での操縦飛行」「目視内での自動・自律飛行」での運用は行われており、今後はさらなる普及を目指している段階です。
そして、今年2018 年からレベル3の「無人地帯での目視外飛行」、2020年代前半からはレベル4の「有人地帯での目視外飛行」によるドローンの導入を本格化させることを目標としています。
レベル4での運用が開始すれば、その後は、徐々に機体の重量が大きいものや、人口密度が高いエリア、多くの機体の飛行(編隊飛行)など、より高いレベルでの運用が計画されています。
また、ロードマップ上で想定している、レベル別ドローンの活用分野は以下です。
■今後の方向性:レベル1~レベル2
レベル1~レベル2による目視内飛行は趣味、産業用問わず、現在既に活用が進められています。
そのため、今後はさらなる利活用を進めていくためにも、各分野の課題をクリアにしていくと共に、国や地方公共団体なども積極的な活用を行い、官民一体となって市場を拡大させていく必要があるとしています。
■今後の方向性:レベル3~レベル4
目視外飛行を行うにあたっては、現在改正航空法によって、主に2つの制限がされています。
1. 補助者の配置が必須
2. 第三者上空での飛行は原則禁止
そのため、レベル3~レベル4での目視外飛行を行うには、いかにしてこれらの課題をクリアしていくか、が重要となってきており、目視外飛行を実現するためには、以下の技術開発要件を満たす必要があります。
1. 目視を代替する機能
2. 第三者への安全性を確保する機能
まず、「1.目視を代替する機能」の具体的な要件としては、以下です。
・目視に代わり自機の状態(位置、進路、姿勢、高度、速度、異常の有無等)が分かり、安全に飛行できる
・空中と地上の物件等(航空機、小型無人機、地形、樹木、構造物及び人等)の存在を把握し衝突を防止できる。
・周囲の気象(風、雨及び雲等)等の状況の変化を把握し、制御不能な状態になることを防止できる。
これらの具体的な要件を実現するためには「機体の情報を伝送するシステム」と、周囲の情報を画像で伝達する「遠隔監視システム」の構築が必要です。
また、合わせて空域内を飛行するドローンの情報を集約し、ドローンの総合的な運行管理や支援を行うことも効果的であるとし、統合型の運航管理システム(UTMS)の開発を進める、としています。
この統合型の運航管理システム(UTMS)は、福島ロボットテストフィールド等を活用し、段階的な実証実験を行っていく予定です。
次に「2.第三者への安全性を確保する機能」を実現するために、主に以下の機能開発を必要としています。
・高い安全性と信頼性を有する機体「落ちない・落ちても安全」な機体へ
・ドローンの機体と装備品の信頼性を確保し、故障を抑制する
・ドローンと地上装置の間の通信の信頼性を向上させ、干渉、妨害及び乗っ取り等への通信の信頼性の確保する
・風雨や悪環境に耐え、定められた空域を確保する
・異常が発生したときの第三者への危害を抑制する
その他、軽量かつ高容量なバッテリーや、モーターの改良による飛行距離や時間、及びペイロードの向上、機体の大型化、非GPS 環境下での飛行制御、ドローンの収集データ利活用、自動離着陸や充電技術などの技術開発にも取り組んでいくことが重要だとしています。
■レベル3~レベル4実現に向けた環境整備
また、技術開発と並行して、ドローンのレベル3~レベル4での活用に向け、主に以下のような環境整備も、政府として取り組んでいく予定です。
・空の産業革命に向けた総合的な検討
→機体登録や事故の調査、土地所有権やプライバシー保護、セキュリティなど、2020年代でのドローンの運用に向け、必要な技術や制度等の総合的な検討を行う。
・目視外、第三者上空飛行の要件検討
→目視外及び第三者上空での飛行に求められる機体の性能や体制等について、順次ルールを明確化。
・人材育成
→国土交通省では、安全な運航を確保するため、操縦技能に係る講習を行う団体等を航空局HPに掲載し、引き続き受講を奨励していく。また運航管理においても無人機操縦者の人材育成に取り組む。
・ドローン情報基盤システム
→既に運用が開始している飛行申請の電子申請サービス「ドローン情報基盤システム(DIPS: Drone/UAS Information Platform System)」のさらなる利便性の向上と高度化に取り組む。
・福島ロボットテストフィールドの整備・活用
→無人航空機や災害対応ロボット等の実証実験拠点である「福島ロボットテストフィールド」を開所し、レベル3の目視外飛行を日常的に行うことのできる拠点として運用。
・「規制のサンドボックス」制度の創設
国家戦略特区において、地域限定の「規制のサンドボックス」制度を創設し、近未来技術の実証実験地として利用できるようにする。
・電波利用の環境整備
→目視外飛行の実現に向け、電波利用における国内制度等の整備と新制度の運用につなげる。
いかがでしたでしょうか。
2018年度に作成されたドローンのロードマップでは、主にレベル3~レベル4の目視外飛行に向けた取組みについて、技術開発、環境整備の面などでより具体化されています。
このように、今後の様々な技術開発と環境整備のスピードによって、ドローンの利用がますます加速することは間違いありません。
ぜひ今の内から、ドローンの理解を始めてみてください。
それでは、ありがとうございました。
P.S.
今後加速するドローンビジネスに早い段階で乗り込むためには、まずドローンの基本的知識の理解が大切です。
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