近年、橋梁点検にドローンを活用する動きが進んでいます。本記事では、ドローンを用いた橋梁点検のメリットや課題、最新技術について詳しく解説します。
目次
橋梁点検にドローンが活用される背景
現在の橋梁点検方法
橋梁の点検は、構造物の安全性を確保するために非常に重要な作業です。従来、橋梁の点検は、足場を組んだり、ロープを使って作業員が直接橋梁に近づいたりするなど、危険を伴う作業でした。また、点検には多くの時間と費用がかかり、作業員の負担も大きくなっていました。近年では、技術の進歩により、橋梁点検にドローンが活用されるようになってきました。ドローンは、人手に頼っていた従来の点検方法に比べて、安全で効率的な点検を可能にする技術として注目されています。
ドローン導入の必要性
橋梁点検にドローンを導入する必要性は、以下の点から明らかです。
点検作業の効率化
近年、日本のインフラは老朽化が進み、橋梁の点検頻度が高まっています。従来の方法では、点検に多くの時間と費用がかかり、作業員の負担も大きくなっていました。そのため、より効率的な点検方法が求められています。ドローンは、従来の方法に比べて短時間で広範囲の点検が可能であり、作業員の負担を軽減することができます。
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ドローンを用いた橋梁点検のメリット
スタッフの安全確保
ドローンを用いることで、作業員が危険な場所へ行く必要がなくなり、安全性を確保することができます。従来の点検方法では、足場を組んだり、ロープを使って作業員が直接橋梁に近づいたりする必要がありました。しかし、ドローンを使用することで、作業員は地上から安全に点検を行うことができます。特に、高所や狭隘部などの危険な場所での点検作業において、ドローンは作業員の安全確保に大きく貢献します。
時間の短縮
ドローンは、従来の方法に比べて短時間で広範囲の点検を行うことができます。ドローンは、人がアクセスできない場所や、人が近づきにくい場所にも簡単にアクセスすることができます。そのため、従来の方法では数日かかっていた点検を、ドローンを使用することで数時間で完了させることができます。点検時間の短縮は、作業効率の向上だけでなく、交通規制の短縮にもつながります。
点検精度の向上
ドローンに搭載されたカメラやセンサーは、高画質で鮮明な画像やデータを収集することができます。これらのデータは、専門家によって詳細に分析され、橋梁の劣化状況や損傷箇所を正確に把握することができます。従来の方法では、肉眼での確認や簡易的な測定に頼っていたため、見落としや誤判断が発生する可能性がありました。しかし、ドローンを用いることで、より詳細な点検が可能となり、点検の精度が向上します。
コスト節約
ドローンを用いることで、点検にかかる費用を削減することができます。従来の方法では、足場やロープなどの費用、作業員の賃金など、多くの費用がかかっていました。しかし、ドローンは、初期費用はかかりますが、その後は人件費や機材費などのコストを大幅に削減することができます。また、ドローンは、従来の方法に比べて点検時間が短縮できるため、交通規制にかかる費用も削減することができます。
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ドローンによる橋梁点検のデメリット
天候の影響
ドローンは、天候の影響を受けやすいというデメリットがあります。強風や雨、霧などの悪天候時には、飛行が困難になります。そのため、天候に左右されずに点検を行うためには、天候の良い日に点検を行う必要があります。また、ドローンは、バッテリーの容量が限られているため、長時間飛行することができません。そのため、長時間の点検を行う場合は、バッテリー交換や充電の時間を考慮する必要があります。
飛行許可の取得
ドローンを飛行させるためには、国土交通省への飛行許可申請が必要となります。飛行許可申請には、飛行場所や飛行時間、飛行目的などの情報が必要となります。また、飛行許可を取得するためには、ドローン操縦士の資格取得や、ドローンの登録などが求められます。飛行許可の取得には、時間と手間がかかるため、点検計画を立てる際には、十分な余裕を持って申請を行う必要があります。
伝統的な方法との併用
ドローンは、橋梁点検の効率化に役立つ技術ですが、すべての点検をドローンで行うことはできません。例えば、ドローンでは、橋梁の内部や狭い場所の点検を行うことができません。そのため、ドローンと従来の点検方法を併用することで、より安全で効率的な点検を行うことができます。
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ドローン技術の最新トレンドと課題
日々進化する技術
ドローン技術は、日々進化しています。近年では、自律飛行機能やAIを搭載したドローンが登場し、より高度な点検が可能になっています。自律飛行機能を搭載したドローンは、事前に設定されたルートを自動で飛行し、点検を行うことができます。AIを搭載したドローンは、画像認識技術を用いて、橋梁の劣化状況や損傷箇所を自動で検出することができます。これらの技術の進化により、ドローンを用いた橋梁点検は、より安全で効率的、そして高精度なものになってきています。
法整備の現状
ドローン技術の進歩に伴い、ドローンに関する法整備も進められています。日本では、2015年に「無人航空機飛行ルール」が制定され、ドローンの飛行に関するルールが定められました。その後、2018年には「改正航空法」が施行され、ドローンの飛行に関する規制が強化されました。これらの法整備により、ドローンの安全な飛行が促進され、ドローンを用いた橋梁点検の普及が期待されています。しかし、ドローンを用いた橋梁点検に関する具体的なガイドラインや基準は、まだ整備されていません。そのため、今後、ドローンを用いた橋梁点検に関する法整備がさらに進むことが期待されます。
未来の展望
ドローン技術は、今後も進化を続け、橋梁点検の分野においてさらに重要な役割を果たしていくことが期待されます。将来的には、ドローンを用いて、橋梁の劣化状況をリアルタイムでモニタリングしたり、橋梁の補修や改修を自動で行ったりすることが可能になるかもしれません。ドローン技術の進化は、橋梁の安全性を確保し、社会インフラの維持管理をより効率的に行うために不可欠です。
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ドローンの実際の適用事例
橋梁の事前調査
ドローンは、橋梁の事前調査にも活用されています。ドローンに搭載されたカメラやセンサーを用いて、橋梁の外観や構造を詳細に調査することができます。これにより、橋梁の劣化状況や損傷箇所を事前に把握することができ、点検計画をより効率的に立てることができます。また、ドローンは、人がアクセスできない場所や、人が近づきにくい場所にも簡単にアクセスすることができます。そのため、従来の方法では困難だった橋梁の事前調査を、ドローンを用いて安全かつ効率的に行うことができます。
狭小部の点検
ドローンは、橋梁の狭小部の点検にも活用されています。小型のドローンは、狭い場所にも簡単に侵入することができます。そのため、従来の方法では困難だった橋梁の狭小部の点検を、ドローンを用いて安全かつ効率的に行うことができます。例えば、橋梁の桁下や橋脚の内部などの狭い場所の点検に、小型のドローンが活用されています。
自律飛行によるひび割れ検査
ドローンは、自律飛行機能を用いて、橋梁のひび割れ検査にも活用されています。自律飛行機能を搭載したドローンは、事前に設定されたルートを自動で飛行し、橋梁の表面をくまなく検査することができます。ドローンに搭載されたカメラは、高画質で鮮明な画像を撮影することができ、画像認識技術を用いて、ひび割れなどの損傷箇所を自動で検出することができます。自律飛行機能を用いることで、作業員の負担を軽減し、点検の効率化を図ることができます。また、非GPS環境下でも、ドローンは、事前に作成された3Dモデルを用いて自律飛行を行うことができます。そのため、GPSが使えないトンネル内や地下構造物などの点検にも、ドローンを活用することができます。
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まとめ
ドローンを使った橋梁点検は、従来の方法に比べて、安全、効率、精度、コストという点で多くのメリットがあります。ドローンは、橋梁の点検作業をより安全で効率的に行うための有効なツールとして、今後ますます活用されていくことが期待されます。しかし、ドローンを用いた橋梁点検には、天候の影響を受けやすい、飛行許可の取得が必要など、いくつかの課題も存在します。これらの課題を克服し、ドローン技術をさらに発展させることで、橋梁の安全性を確保し、社会インフラの維持管理をより効率的に行うことが可能になります。
旭テクノロジーでは、プラント事業からスタートした長年の経験を活かし、法人へのドローン導入支援や、構造物の点検サービスを行っています。現場で課題を感じられている方は、お気軽にご相談ください。