農薬散布や圃場管理で大活躍! 農業用ドローンを導入する前に知っておきたいメリット、デメリット
農薬や肥料の散布、圃場の生育管理、鳥獣外対策など、様々な面から農業を支える各種農業用ドローン。その中でも代表的な存在である農薬散布用ドローンは、2019年7月に農薬散布に関する規制緩和が行われて以来、より身近な存在となり、新たに導入を検討される農家の方が増加しています。
今回は、農業用(農薬散布用)ドローンの導入を検討されている方々に向けて、ドローンを使うことのメリット、デメリットについてご紹介していきます。
農業用ドローンを導入するメリット
人手不足の解消
ドローンを導入する最大のメリットが、人手不足の解消です。
農薬散布は農作業の中でも重要な作業の一つであると同時に、最も重労働な作業でもありました。
従来は人間がタンク(動力散布機)を背負って行う地上散布が当たり前でしたが、田んぼや畑の端から端まで、薬を撒きながら練り歩くのは、非常に時間と手間がかかるもの。さらに働き手の高齢化や、若者の農業離れなど、深刻な人手不足にある現在では、農薬散布の人材を確保するだけでも大変でした。
そんな大変な農薬散布もドローンを使えば1ヘクタールあたりにかかる時間はわずか約10分。これは地上散布の約40~60倍の速さにあたります。人間が行う作業の何十倍もの作業をドローン1台で賄えるため、必然的に人手不足の解消につながります。
さらに2019年7月の規制緩和前までは、操縦者の他に補助者の配置が義務付けられていましたが、規制緩和後は一定の条件を満たせば補助者なしでの単独飛行も可能になりました。オペレーター一人で農薬散布できるようになったことで、さらに人手不足が解消されたと言えます。
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大幅なコストダウンを実現
ドローンの使用で得られるもう一つの大きなメリットが大幅なコストダウンです。
先ほど農薬の地上散布について触れましたが、ドローンが登場するまで、空中散布がなかったというわけではありません。
従来の空中散布といえば無人ヘリコプターによるものが一般的でした。地上散布よりも時間と労力を大幅に抑えながら、農薬を散布することが可能でしたが、無人ヘリを購入するには1機1,000万以上もかかってしまうことから、なかなか手を出しづらいものでした。
また機体が大きいため取り扱いが大変だったり、操縦が難しいなど、コスト以外にも様々なデメリットを抱えていました。
そのような問題から、農家の方が無人ヘリを個人所有することは一般的ではなく、JAや民間企業に外注するかたちで空中散布を行うことが通例となっていました。しかし、この方法にも問題があり、扱う作物が同じ地域では、業者が混雑して本当に農薬散布をしてほしいタイミングで、農薬を散布できないといった問題もありました。
農業用ドローンは1機の価格が100万円から〜300万円と無人ヘリに比べると、大幅にコストダウン。さらに機体も軽く、操縦も簡単であり、好きなタイミングで農薬散布を行えるといった様々なメリットがあり、個人での農薬空中散布がより身近なものに変わりました。
危険な作業を軽減する
農薬の地上散布を実施する農家の方の中には、直接農薬と触れあう機会が多いことから、人体への影響が心配だという声があります。
本来、農薬は農薬取締法に基づき、数多くの安全検査を実施した上で登録されているため、安全性はきちんと確保されているものです。しかし、どれだけ安全でも正しく扱わなければ危険物であることに変わりありません。実際に農薬散布に関連した死亡事故や中毒被害が、毎年少数ながらも発生しています。
事故を起こさないようにできるだけ農薬との接触を避け、防護服などで身を守っていたとしても、散布時に空中に漂う農薬の微粉末を吸い込んでしまう可能性もあります。
その点、ドローンは遠隔操縦で農薬散布を行うので、散布者が農薬と触れ合う時間が格段に少なくなるというメリットがあります。地上散布と比べれば、農薬が人体に与える影響を最小のリスクに留めることができると言えるでしょう。
農薬散布以外にも活用できる
農業用ドローンの活用方法は農薬散布だけではありません。
同じ農薬散布用ドローンを使って肥料の散布が行えたり、他の農業用ドローンと組み合わせて使用することで、作物の育成状況の把握や、農薬のピンポイント散布、鳥獣外被害の対策などを行うことも可能です。
これまで、人間が広い圃場を歩き回ることで、なんとか実現してきた、“きつくて、面倒で、非効率な作業”の数々を、ドローンを導入することで、“誰でも、簡単に、効率よく”行えるようになるのです。
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農業用ドローンは、まだまだ進化の途中にあるため、導入するメリットに関してもこれからどんどん増えてくることでしょう。
そんな便利なドローンですが、導入するにあたってどんなデメリットはあるのでしょうか?次の項目で解説していきます。
農業用ドローンを導入するデメリット
高額な機体の購入費
農業用ドローン導入の最大のネックになっているのが機体の購入費用です。
農業用ドローンは安くても100万程度、高いものだと300万円以上もかかります。無人ヘリと比べると半額以下で購入できるといえども、決して安い買い物ではありません。
ドローンを上手に活用できれば数年以内に機体購入費用を回収することは十分に可能ですが、初期費用の数百万をすぐに用意できない方や、少しでも初期費用を抑えたい方もいらっしゃると思います。
そんな方にご利用を検討していただきたいものが農薬散布用ドローンに使える補助金制度です。補助金とは、国や地方公共団体が事業者に対して、原則返済不要なお金を支給してくれる制度のことです。申請が受理されれば大幅に初期費用を抑えることができます。
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専門的な技術と知識が必要になる
農業用ドローンを購入したら、すぐに農薬散布が行えるというわけではありません。
ほとんどの方がドローンの操縦は初めてだと思われるので、まずは基本的な操縦技術を学ぶ必要があります。またドローンを使って農薬散布を行うに際して許可の申請を行う必要がありますが、その際に一定時間の飛行実績が求められます。
実際にドローンを使って安全に農薬散布を行うには、より実践に近い訓練が必要です。
基本的な飛行技術だけでなく、現場までの機体の搬送や点検方法や、危険物輸送・物件投下の技能を習得することが大切です。このような技術を習得するには、ドローンスクールを活用すると安心でしょう。
またスクールを利用するには受講費が発生しますが、先ほど紹介した補助金制度を活用できる可能性がありますので、機体購入と合わせて確認するようにしましょう。
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農薬散布を行うための申請
上記の「専門的な技術と知識が必要になる」の中でも触れましたが、ドローンを使って農薬散布をするには、飛行許可の申請を行う必要があります。
一般的なドローンの場合、場所や条件によっては承認が不要になる場合もありますが、農薬散布は航空法で規制されている「危険物輸送」と「物の投下」に該当するため、国交省からの飛行承認を必ず得る必要があります。
なお、許可と承認を受けるための条件として“10時間以上の飛行経験”と“5回以上の農薬散布経験”が求められます。
また無事に申請の手続きを終えた後も、すぐにドローンを運用してはいけません。ガイドラインに必ず目を通し、安全に徹底した操縦するように努める必要があります。
国交省の申請や、ガイドラインの確認などを見ると、ややハードルが高いと感じられるかもしれませんが、実際はそこまで面倒なものではありません。
2019年7月の規制緩和以前は「オペレーターとして技能認定・登録」「農薬散布用ドローンの機体登録」「国や都道府県に散布計画書の提出」「農薬散布時に補助者の配置」など、今とは比べ物にならないほど面倒な申請が満載だったことを考えれば、相当簡略化されたと言えます。なお、この辺りの知識についてもドローンスクールで身につけることができます。
農業用ドローンのことならドローンスクールジャパンにご相談ください
ドローンの導入に関するメリットとデメリットについてご紹介しましたが、いかがだったでしょうか。明らかにメリットの方が大きいドローンではありますが、少なからずデメリットも存在します。
しかし、そのデメリットは、ドローンスクールで技術と知識を身につければ対応が可能になります。
旭テクノロジーが運営するドローンスクールでは、実際にドローンでの農薬散布を行っているインストラクターが少人数で指導を行う「EA2020 農業コース」を開講しています。
農薬散布用ドローン「EA2020」を使い、実際の圃場で農薬散布を行うプロのパイロットを育成するコースです。
農薬散布に必要なドローンの飛行技術はもちろん、農薬に関する知識や、現場までの機体の搬送や点検方法など、より実践的な技能を習得することができます。
また、ドローンの機体販売と購入後のサポートも行っていますので、これからドローンで農薬散布される方も安心です。
卒業された生徒さまからも
「農業用ドローンはコストパフォーマンスに優れ、今後さらに発展する市場なのでお勧めです」
「ドローンの操縦や、航空法の知識をわかりやすく教えてくださって助かりました」
「危険物輸送&物件投下の技能認定が得られたことが良かった」
との意見が寄せられています。
「ドローンを使っての農薬散布に興味がある」など農業用ドローンの導入を検討している方は、ぜひ、お気軽にドローンスクールにご相談ください。