ドローンのバッテリーにはリポバッテリーが広く使われています。今回はリポバッテリーの取り扱い方法や注意点を解説していきます。ぜひ最後までご覧ください。
目次
リポバッテリーとは?
正式名称は「リチウムイオンポリマーバッテリー」と言い、ドローンで一般的に使われている電池のことです。
スマホなどに使われているリチウムイオンバッテリーをゲル化したものです。
様々な製品にこの種の電池が使われていますが、その特性上ドローンでの使用割合は高いので、関連する知識を学んでおくと良いでしょう。
リポバッテリーの特徴
リポバッテリーの特徴は、エネルギー密度が高くて効率の良い電源供給ができることにあります。
そのため、軽量かつ小型にしても大きな出力を実現でき、軽量にして浮力を稼ぐ必要のあるドローンには最適なのです。
その秘密はこの電池の材料にあります。
スマホバッテリーとして主流のリチウムイオンバッテリーは固形ですので、小さくできますが重たくなるという面があります。
しかし、リポバッテリーの場合はゲル状ですので軽くできるわけです。
また、充電を繰り返しても容量が減りづらいという特徴もあって、繰り返し電池を交換しながら長期的に使うという使用法にマッチしているのもポイントです。
複数のセルが集まって1つのバッテリーに
もう1つの特徴としてセルと呼ばれる小さい電池が集まって1つのリポバッテリーとなっている点です。
1セルあたりの電圧は3.7Vで最大4.2Vまで充電できます。
3セルのリポバッテリーなら「3.7V×3=11.1V」が全体での電圧となります。
上記の写真の11.1Vと書かれた部分がセル数になります。
汎用のリポバッテリーであれば「電圧÷3.7V」でセル数を計算することができます。
隣の50Cというのは充放電能力の数値です。簡単に言うとこの数値が大きいほど放電能力が高く、性能がよいバッテリーといえるでしょう。
高い電流を流すことができるので、同じセル数やアンペアならCの数値が大きいほうが高性能のバッテリーとなります。
Cが瞬間的なパワーとすればmAhは持久力です。
リポバッテリーの容量を示しており、こちらも数字が大きいほど高性能です。
一方でセル数やmAhが大きくなるほどバッテリーの重量も増える傾向にあります。
リポバッテリーの良い面、メリット
リポバッテリーは電圧が高いので、機体を浮かせて高速での移動を可能にする強力なモーターを回せるのがメリットです。
また一度の充電で大容量の電源供給ができますので、容量を食う飛行であっても十分な時間を保てるのも良い面と言えるでしょう。
また一度に強い出力を出せるというのも良い面です。
ホバリングしている状態から一気にフル加速して移動するという、特有の動きを実現できるのは、この電池のおかげなのです。
軽量であるため、運動性能を落とすことなく長時間、かつ軽やかな動きを取ることができます。
リポバッテリーの悪い面、デメリット
この電池の悪い面としては、電源がゼロになってしまうと再充電ができないという点があります。
また、全体容量の20パーセント程度を下回ると、急激に電力が弱まると共に消費が進んでしまいます。
そのため、電圧が30パーセントを切ったら飛行を辞めて充電しないといけません。
こうした特性があるため、多くの製品では容量が20パーセント台になるとアラームを鳴らしたり、自動的に返ってきたりするような機能を備えています。
繰り返しの充電には強いのですが、過充電には弱いというデメリットも持っています。
フル充電したら自動的に充電をストップする機能を持った充電器を使うか、満タンに近くなったら充電器から抜く必要があります。
安全面における注意点
注意点としては、ゲル状の電池であるため、衝撃に弱く墜落すると破裂したり破損したりすることがあります。
また、保管場所や管理方法が悪くて突起状のものにぶつかったり、落としたりするとショックで壊れるリスクもあります。
そのため、頑丈な容器で保管することが重要です。
もう一つの取り扱い上の注意点は、劣化すると膨張し、最悪のケースとしては爆発することがあるということです。
電池の内部にガスが溜まってきてしまうからで、膨らみに気付いたら破棄しないといけません。
また、膨張すると機体に収まらなくなりますので装着して使えなくなるという点にも気を付けましょう。
充電中にいつも以上に発熱している場合、そのまま筐体が溶けたり破裂したりすることもありますので、取り扱いには注意すべきです。
また携帯電話などのリチウムイオン電池などはコネクタが合えばそのまま充電できるケースが多いですが、リポバッテリーは専用の充電器で充電する必要があります。
なぜなら充電時はそれぞれのセルの電圧のバランスを揃える必要があるからです。
この充電方法はバランス充電とよばれており、汎用バッテリーはセル当たりの電圧を充電器側で確認するためコネクターを接続するケースもあります。
最近ではみなくなったニッケル水素電池用の充電器でリポバッテリーを充電すると過充電状態となり発火してしまいます。
過充電を防ぐためにリポバッテリーを充電するときは、必ず専用の充電器を使用しましょう。
リポバッテリーを長く使うためのポイント
取り扱いを気を付ければ、この電池は長持ちします。
具体的には、過放電・過充電を避けるということです。
容量が30パーセントを切ったらすぐに充電をします。
充電が完了したらすぐに充電器から外しておきます。
もし長い期間使わないのであれば、50パーセントくらいの容量を保てるように、たまに容量をチェックしてみましょう。
一番良いのは、容量管理機能が付いた製品を購入することです。
一定量以上の充電ができたら自動的に給電を辞める機能や、20パーセント近くまで落ちたら知らせてくれる機能があると安心です。
温度管理にも気を配ります。
高温もしくは低温の状態だと、一気に消費が激しくなる傾向があります。
そのため、冷暖房の側や直射日光の当たるところには放置しないようにしましょう。
長時間の飛行をする場合、いくつもの電池を持参することになります。
野外に放置することがないように、セーフティーボックスに入れておくのがベストです。
衝撃によって破損したり、水分によって表面が腐食したりすることもあります。
そのため、棚などから落下しないように固定しておくことや、ジメジメしたところには置かないといった点にも気を付けましょう。
ドローンを使うために車で移動していくのがほとんどなので、車内に置きっぱなしにしておくというのも避けましょう。
使い方や充電方法によって寿命が大きく変わるのも特徴ですが、デメリットともいえるでしょう。
DJI製やEAVISION製のバッテリーなどは専用の回路が組み込まれており、自動放電や残量を表示する機能があり、これらはインテリジェントバッテリーとも呼ばれています。
リポバッテリーを破棄する方法
メーカーの純正の電池であれば、メーカーで引き取ってくれることが多いです。
販売店に持ち込んで破棄してもらいましょう。
また、メーカーでなくても家電量販店などでも、電池の回収をしているところがありますので、リポバッテリーでも大丈夫かを確認して破棄してもらいます。
もし、自治体のゴミ収集に出すのであれば、完全に放電してから出す必要があります。
そのままでは発火や破裂などの危険もあるからです。
機器に接続して使い切っても良いですが、もし難しいのであれば、濃度が3パーセントから5パーセント程度の塩水を作って漬けておきます。
3日間くらいそのまま放置しておけば、完全に放電しきれますので、それぞれの自治体のルールに従って回収してもらえます。
どちらにしても、庭や飛行した後の野外に破棄しておくというのは絶対にしてはなりません。
中身が土壌や動物にとって汚染物質となる危険がありますし、不法投棄とみなされます。
きちんと責任を持って最後まで正しい取り扱いをしましょう。
まとめ
ドローンにはリポバッテリーというタイプの電池が使われていることが多いです。
他の電池に比べて軽量でありながらも高出力ということで、とても相性が良いのです。
一方で、過放電や荷重電には弱いなどの特性もありますので、安全面に気を付けながら正しい取り扱い方法を覚えて利用しましょう。
正しい知識を持って使っていれば、かなり長く使えますので、無駄な出費を避けて飛行を楽しむことができます。
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