ドローンに興味を持つと、何かと聞くことが多い「FPV」というキーワード。
FPVに対応するドローンであれば、ドローン視点での映像を見ることができ、通常とは一味違った空撮を楽しむことができるようになります。
そこで今回は、このドローンの「FPV」についてご紹介していきたいと思います。
目次
ドローン視点が楽しめる「FPV」とは?
「FPV」とは“First Person View(ファースト・パーソン・ビュー)”の略で、一人称視点という意味です。一人称視点を簡単に言えば、ドローンから見た視点のことで、このFPVを行うことで、操縦者はドローンから見える景色を見ることができるようになります。
通常、FPVでの映像は送信機(プロポ)に取り付けたスマホやタブレットなどに映し出されます。これによって、例えドローンを操縦していても、空からの映像を見ることができ、かつカメラ撮影に対応していれば、写真や映像を撮ることもできるのです。
現在では趣味の空撮はもちろん、業務で利用する時にも、このFPVによる映像確認は利用されており、ドローンの世界において、FPVはもはやなくてはならない存在なのです。
こちらは世界トップクラスのテクニックで魅力あふれる映像を提供してくれるFPVドローンレーサー Johnny FPVの動画です。
彼自身のテクニックも凄いですが、ポルシェの宣伝動画のため編集技術も凄いですね。
このような魅せる飛行方法はフリースタイルやアクロバットと呼ばれています。ドローンレースはタイムを追求するものですが、技術的には似た部分もあります。
FPVの仕組み
FPVではドローンに搭載した映像送信機(VTX)から映し出した映像を映像受信機(VRX)へ電波で送信する方法が一般的です。ただし、最近のドローン(DJIなど)では、ドローン本体で撮影した映像をデジタル変換し、2.4Ghz帯で伝送を行っているケースも多くなってきています。
この方法は、無線LANを活用して送信を行うため、ドローンの実際の映像と映し出される映像には若干のタイムロスが存在します。しかし、通常の空撮や業務用途では、FPVはあくまでもドローンの機体位置の確認やカメラアングルの調整など機体を操縦するパイロットの補助的役割であるためあまり問題になりません。
よほどの特殊な状況(目視外で極端に場所が狭いところ)でない限り、十分に活用できるレベルとなっています。
ドローンレースのような場合だと!?
現在、人気を集めているドローンレースの場合では、このような通常の用途とは違い、シビアな操作感が求められます。そのため、ほぼリアルタイムでの視認が必須なため、デジタル変換を行わずに、主に5.8Ghz帯の周波数を用いて映像伝送する方法が一般的です。
ドローンレースなどで5.8Ghz帯を使用する場合、個人用途では「アマチュア無線4級」以上の資格(※ビジネス用途では「第三級陸上特殊無線技士」以上)が必要となります。またこれ以外にも、ドローンが発信する電波に対しての申請が必要なため「無線局開局の登録」も必要になります。
「無線局開局」には、開局する無線機の仕様書なども必要になるため、ネット上で容易に手に入るものを選ぶとよいでしょう。
このように、使用するドローンの用途に応じてFPVの方法やルールも異なってきますので注意するようにしましょう。
※ドローンに関する電波法ならこちらで詳しく解説しています。
>>関連記事:技適マークがないと法律違反!?知っておきたいドローンの電波法について
FPVを使ったドローンの始め方
FPVに対応したドローンで操縦を始めるには、大きく分けて3つの方法があります。
以下が、その3つの方法になります。
FPVドローンその1:市販のトイドローンを購入する
現在のトイドローンではFPVに対応したドローンが数多く発売しています。
技適マークのついた2.4Ghz対応のFPVに対応したドローンであれば、特別に免許を取得したり無線局を開設することなくFPVを楽しむことができるようになっています。
〜参考例〜 Holy Stone HS200 (レッド)
※出典:Amazon
※※※注意!※※※
トイドローンで探してみると、FPVに対応したトイドローンが数多く表示されますが「5.8Ghz帯対応」モデルは、上記の通り、「アマチュア無線4級」と「無線局」の免許が必要でそのままでは飛ばせません(法律違反です)。
この無線局の申請は初心者にはハードルが高いため、よく検討するようにしてください。
FPVドローンその2:FPVがセットになった普及版ドローンを購入する
普及版ドローンとは、言わばDJIのドローンのように、FPVに対応したプロポとドローンがセットになった本格的な空撮用ドローンですこれらのドローンでは、2.4Ghz帯の無線電波を使い、購入後すぐにFPVでの空撮を楽しむことができるのでオススメです。
飛行性能自体も非常に優れているので、初心者でも慌てて落下するなどの事故も防げるはずです。
〜FPVドローンのおすすめ〜 DJI Phantom4 v2.0
DJI Phantom(ファントム)シリーズは、世界的に爆発的ヒットとなった代表的なドローンです。
現在発売しているPhantom4シリーズであれば、安定的な飛行性能の上、本格的なFPVを楽しめるのでオススメです。
もし、どうしても低予算で押さえたい場合はSparkやMavicシリーズがオススメです!
〜FPVドローンのおすすめ〜 DJI FPV
世界的なレース用ドローンの流行をうけて、DJIからFPV専用のドローンが発売されています。
最高速度は140km弱を誇り、広い場所があれば思う存分、FPVドローンを楽しむことができます。
この機体はPhantomシリーズやMavicシリーズなどで培った技術力を元に開発された機体で、FPVドローンとしては破格のカメラ性能を誇ります。
またほかのDJI製ドローンと同様に以下の特徴があります。
特徴
- 組み立てが要らない
- DJI Care Refreshが用意されている
- 賠償責任保険がついてくる
初心者がいきなり組み立てが必要な自作機から始めるのは非常にハードルが高いです。
しかしDJI FPVであれば複雑な組み立てや設定が必要なく、FPVドローンの入門としては最適でしょう。
ただDJI FPVは自作機の多い一般的なFPVドローンと比較すると以下の欠点があります。
欠点
- パイロットに合わせたフライトコントローラーの設定(PIDやレートなど)ができない
- 重量バランスが悪い
- フリースタイルにむいていない
特にフライトコントローラーの設定ができないため、フリースタイルでトリックなどを行うと機体がブルブル小刻みに震えます。
自作機であれば細かいPIDやレートの設定を行うことで、震えを少なくしたりパイロットに合わせた設定ができます。
しかしDJI FPVは細かいPIDやレートのチューニングが不可能なため、日常的にドローンレースやフリースタイルをしているパイロットには不評のようです。
DJI FPVにはフリースタイルやドローンレース用の「Mモード」と呼ばれるモードがありますが、「Mモード」に設定してもチューンアップした自作機同様には飛行できません。
しかしながら、DJI FPVはMavic2,3やPhantomシリーズのように電波が途切れるとGPSを頼りにパイロットの地点まで自動で戻ってくる(リターントゥーホーム)機能の搭載など良い点もあります。
自作したFPVドローンの場合は、長くても300m程度で電波が途切れますし、映像の転送も困難です。
電波が途切れた場合はその場に墜落するように設定されており、自動的にリターントゥーホームできるのは大きな特徴でしょう。
またFPVドローンは遅延なく映像を伝達するため、操縦用カメラと撮影用カメラを分けて搭載することが多いです。
しかし操縦用カメラと撮影用カメラの画角が異なるためパイロットが見ている映像と実際に撮影している映像にズレが発生してしまいます。
DJI FPVは1/2.3インチCMOSセンサーを搭載しており1つのカメラが操縦と撮影の役割を果たしているため、操縦時にパイロットが視認した映像がそのまま記録できる形となっています。
前方障害物センサーと下方ビジョンセンサーも搭載されており、飛行モードを「Nモード」に設定すると安定したホバリングが可能になります。
他には一般的なFPVドローンの飛行時間が1分半~3分、長くても4,5分程度なのに対し、DJI FPVは最大で約20分(実働では15~16分程度)とかなり長い時間飛行することが可能です。
以下にDJI FPVの良い点と悪い点をまとめましたので参考にしてください。
良い点
- 組み立てが要らない
- DJI Care Refreshが用意されている(加入すると故障の時に製品交換サービスが受けられる)
- 賠償責任保険がついてくる
- FPV用のカメラが高性能(1/2.3インチCMOS有効画素数:12MP)
- 運用限界高度が高い(限界高度海抜6000m)
- 映像伝送距離が長い(最大映像伝送距離6km(日本))
- 最大飛行距離がながい(16.8km)
- 映像伝送の品質はDJI
- 飛行時間が長い(最大20分)
- Nモードにすると自動でホバリングしてくれる
悪い点
- パイロットに合わせたフライトコントローラーの設定(PIDやレートなど)ができない
- 重量バランスが悪い
- フリースタイルにむいていない
- Mモードでもアクロバットな飛行を行うと、小刻みに振動することがある
全くの初心者の場合はDJI FPVから始めるのも手ですね。
FPVドローンその3:レース用ドローンを自作する
ドローンレースは、元々FPVを利用してスピードを競う競技であるため、レース用ドローンにはFPVが付きものです。
今ではドローンレース用のキットも数多く発売されているため、まずはこのようなキットから始めるのがよいしょう。
自分でイチから組み立てる場合、モーターやカメラなどのドローンを構成するパーツはすべて自分で選ぶことができます。
そのため自分の好みの機体に仕上げることができます。
またフライトコントローラーの設定(PIDやレートなど)が可能なため、柔軟にチューニングできます。
以前よりは国内サイトに情報が増えてきたものの、最新の情報などが海外サイトのほうが豊富なため、情報収集力が問われるでしょう。
ただし、上記記載の通り、レース用ドローンではほとんどがリアルタイムでの映像伝送を必要とするため、「5.8Ghz帯」の電波を使用します。
そのため、このようなレース用ドローンを購入する際には、合わせて「アマチュア無線4級」以上の免許取得と、「無線局開局」の申請を行うようにしましょう。
2022年6月20日からはドローンの登録制度が始まっています。
ドローンの定義が100g以上になり、それらを外で飛行させる際はドローンの登録が必要ですのでご注意ください。
>>関連記事:ドローンの登録制度って何?いつから始まるのか?
まとめ
ドローンのFPVの魅力とその仕組み、対応するドローンについてご紹介してきました。ドローンならではの視点で空撮を楽しめるのがFPVの魅力ですので、ぜひ興味がありましたら、一度チャレンジしてみてください。
FPVドローンを操縦するときは、航空法で規制されている基本形態と目視外飛行が必要です。そのため飛行させるときは、国交省に飛行申請を提出し許可証を所持して飛行させてください。
とはいえ、ドローンに関する規制や法律についてイマイチよくわからないということもあるかと思います。そんな方には無料体験会がおすすめです。
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