本当にドローンの操縦には資格や免許が必要ないのか?
こんな悩みはありませんか?
ドローンを操縦するために資格はいるのか?
ドローンの資格を持ってないが飛行させてよいのか?
ドローンの資格なしで飛行させているけど法律に違反していないか不安だ。。。
安心してドローンを操縦するにはどうしたらいいの?
この記事を読めば、「ドローンの操縦(飛行)には資格や免許がいるのか?いらないのか?」について理解が深まります。ぜひ最後までご覧ください。
目次
ドローンの操縦(飛行)には資格や免許がいらないのか?なしでも大丈夫?
結論からいうと、ドローンの操縦や飛行には資格や免許は必要ありません。
しかしながら、資格や免許などが何もない状態でドローンを操縦しようとすると自由に飛行させることが非常に難しくなっています。
なぜなら法律によって様々な制限がかけられているからです。
この制限を解除するために国土交通省に飛行申請を提出し、飛行許可・承認をもらう必要があります。
法的にはドローンの操縦には免許や資格は必要ない
前述したように2022年5月現在の法律では、ドローンの操縦に資格や免許の取得が必要になる法律はありません。
国家資格ではありませんが、DPAやJUIDA、DJI CAMPといった国土交通省に認可された民間団体の資格があります。
一部の民間団体(DPAやJUIDAなど)は国とドローンの制度、活用について協議する小型無人機に係る環境整備に向けた官民協議会に参加した実績があります。
また国土交通省からドローンのスクールを管理する団体として認可をうけています。
この団体のことを管理団体といいます。
免許は存在しないが国が認可したドローンの資格は存在する
前述したように国土交通省に認可された民間資格は存在します。この資格はどのすれば取得できるのかというと、ドローンスクールなどで講習を受講し試験に合格すれば資格を取得することができます。
民間資格を保有することで国土交通省へドローンの飛行許可を申請する際に、書類の簡略化ができたり、法律で制限がかかっている飛行エリアや飛行形態を解除することができます。
管理団体は国土交通省からドローンスクールを管理する団体として認可されていますが、そのためには講習の管理者や教官、組織の運営などの様々な要件をクリアする必要があります。
講習内容も国土交通省によって審査されています。これらの審査をクリアした団体の資格が国が認可した民間資格となるのです。
ドローンの飛行許可・承認とはどのようなものか?
ではドローンの飛行許可・承認とはどのようなものでしょうか。以下の画像は実際の許可証です。
国土交通省に飛行申請を提出し、許可・承認されるとPDFで許可証をもらうことができます。
ドローンを飛行させる際は、この許可証を紙にプリントし携帯することが求められます。
現在はスマホなどにPDFで保存し提示を求められた際は、紙の許可証の変わりにスマホを提示することも認められています。
航空法で制限されている飛行エリアや飛行形態(飛行方法)とは?
ドローンは航空法で飛行可能エリアや飛行形態(飛行方法)が制限されています。
飛行禁止エリア
- 空港等周辺地域の上空
- 高さ150メートル以上の上空
- 人口集中地区(DID地区)
※人口集中地区とは、国勢調査によって定められた「人家の密集地域」です。
飛行形態
- 夜間飛行
- 目視外飛行
- 人、物、建物から30m未満の飛行
- イベントや催し物上空での飛行
- 危険物の輸送
- 物件投下
簡単にいうと以上の飛行エリアや飛行形態でドローンを飛行させる際は、国土交通省の許可・承認を得た上で許可証を携帯する必要があるということです。
特に注意しなければならないのが飛行禁止エリアの人口集中地区(DID地区)と飛行形態の「人、物、建物から30m未満の飛行」、「目視外飛行」です。
「自分の家の庭なら大丈夫だろう。」と考えていても、人口集中地区に該当しているケースがあるので注意が必要です。
「人、物、建物から30m未満の飛行」は簡単に言うと「第3者や第3者の所有物から30m未満の飛行」は禁止されているということです。
外で飛行させるときに第3者の所有物から30m以上、距離をとるのは非常に難しい場所が多いでしょう。
「目視外飛行」とはパイロット(操縦者)の視界内にドローンがない状態で飛行させることをいいます。
現在主流の汎用ドローンは、本体に搭載されたカメラで撮影された映像をリアルタイムに画面表示することができます。
その映像を確認するために、ドローンから目を離した時点で目視外飛行となってしまいます。
目視外飛行の訓練は専用の管理者と施設の元で行うと国土交通省が定めています。
以上のように事実上ドローンを外で飛行させるためには許可証が必要といっても過言ではないでしょう。
民間のドローンの資格はあったほうがよいのか?
では民間のドローンの資格はあったほうがよいのでしょうか?
結論からいいますと民間のドローンの資格を取得することで国土交通省への飛行申請がスムーズになります。
またドローンを飛行させる際には、航空法だけでなく様々な法律が関わってきます。
民間の資格を取得することで法的なトラブルや墜落事故の回避につながります。1つずつ順番に解説します。
国土交通省への飛行申請、飛行許可をスムーズに
前述したように趣味や業務でドローンを飛行させる際に、国土交通省の飛行許可がないと飛行できる場所や方法が大幅に制限されてしまいます。
ドローンの民間資格を取得することで一部の書類の提出が省略できます。以下は国土交通省へ飛行申請する際に必要な書類一覧です。
- (様式1) 無人航空機の飛行に関する許可・承認申請書
- (様式2) 無人航空機の機能・性能に関する基準適合確認書
- (様式3) 無人航空機を飛行させる者に関する飛行経歴・知識・能力確認書
- (別添資料1) 飛行経路の地図
- (別添資料2) 無人航空機及び操縦装置の使用が分かる設計図又は多方面の写真
- (別添資料3) 無人航空機の運用限界及び無人航空機を飛行させる方法が記載された取扱説明書等の該当部分の写し
- (別添資料4) 無人航空機の追加基準への適合性
- (別添資料5) 無人航空機を飛行させる者一覧
- (別添資料6) 申請事項に応じた飛行させる者の追加基準への適合性を示した資料
- (別添資料7) 飛行マニュアル
- 技能認証 証明書
- 機体追加基準資料
国土交通省へ飛行申請を行うとき、民間の資格をあわせて提出すると3,4の書類、審査が免除されます。
4の地図は、包括申請が行える飛行形態は免除されますが、空港周辺や150m以上の飛行、イベント上空の飛行の際には必要になります。
制限されている飛行形態の「夜間飛行」「目視外飛行」「危険物輸送」「物件投下」の場合は書類の提出が必要となります。
書類の提出と審査が免除される民間資格については国土交通省が認可した団体に限ります。>>こちらの国土交通省のHPに掲載されています。
また国土交通省が認めた機体は、6の機体の書類や審査が免許されます。
>>飛行許可を受ける際の申請書類の一部を省略することができる無人航空機
夜間飛行や目視外飛行などの飛行形態で飛行させる場合は、機体追加基準資料が求められる場合もあります。
このように国土交通省に認可されている民間の資格を取得すると国土交通省へスムーズな飛行申請が可能になり飛行エリアや飛行方法を拡大することができます。
ドローンの飛行エリアの拡大
民間の資格の中には飛行エリアを解除できる資格もあります。例えばDPA、JUIDA、DJI CAMPなどです。
通常は150m以上の飛行は、追加で操縦者の経歴・知識・技能の審査がありますが、民間の資格を取得することで操縦者の審査を免除することができます。
注意点として飛行エリアの拡大については、飛行させる場所を管轄する関係機関との調整が必要です。進入表面等の上空空域などについても同様です。
飛行形態(飛行方法)の訓練が容易に行える
夜間飛行や目視外飛行などの飛行形態は、「経験のある管理者の元で訓練を行う」と国土交通省に定められています。
認可された資格を取得できるドローンスクールでは、大抵これらの飛行形態を訓練でき、解除することができます。
解除とは資格の証明書に解除された項目が記載されることを意味しています。
夜間飛行や目視外飛行はドローンを飛行させる際にほぼ必須となる重要な飛行形態なので事前にしっかり確認しましょう。
ドローンの操縦技術や知識の証明になる
ドローンは「空を飛行する」ものなので、高い技術がないと、事故に繋がる可能性もあります。
ドローンを操縦できる技能があることを証明できる客観的な指標が必要です。
民間の資格を取得することでドローンについてあまり詳しくない人に説明する際、技術があることを証明できます。
墜落事故やトラブルの回避
独学でドローンを飛ばすと機体を紛失したり器物を破損してしまうリスクがあります。
また知らず知らずのうちに法令に違反し逮捕された例もあります。
民間の資格を取得することで法令や機体の扱い方、操縦技術を身に着けることができるので、これらのリスクを回避することができます。
民間の資格がなくても飛行申請を提出できるのか?
では民間の資格がない状態で国土交通省に飛行申請を提出できるのでしょうか。
結論からいうと10時間以上の飛行経験があれば「人、物、建物から30m未満の飛行」や「人口集中地区上空(DID地区)」での飛行は許可・承認される可能性が高いです。
ただ前述したように、飛行許可証がない状態でドローンを飛行できる場所は非常に限られており、10時間以上の飛行訓練を行うのは非常に厳しいのが現実です。
また国土交通省に飛行申請を提出するときに、機体の点検・整備方法や訓練方法、安全を確保するために必要な体制を説明するマニュアルの提出を求められます。
一般的には民間の資格を取得し飛行申請を提出するため、国土交通省が用意したマニュアルを使用するケースがほとんどです。しかし民間の資格がない状態で国土交通省のマニュアルを使用するには注意点があります。
民間の資格がない状態で国土交通省のマニュアルを使用し飛行申請する際の注意点とは?
結論から述べますと、以下の3つの内容を満たすように10時間以上の飛行訓練を行う必要があります。
ただ単純に10時間以上飛行させればよいのではありません。
訓練の際に求められる内容
- 訓練の際には十分な経験を有する者の監督下で行う
- 訓練場所は許可等が不要な場所、もしくは訓練のために許可などを受けた場所で行う
- 対面飛行、飛行の組合、8の字飛行の習得
以上はあくまで国土交通省のマニュアルを使用する場合の訓練方法です。
飛行許可の必要ない場所は探せば見つかるかもしれませんが、十分な経験をもつ監督者などは知り合いにいなければ、そうみつかるものではありません。
また対面飛行や8の字飛行も習得する必要があり、単純に10時間以上の操縦訓練を行えばよいわけではありません。
他のマニュアルを使用したり制作する方法もありますが1からマニュアルを制作するのは現実的でなく、どちらにしろかなりハードルが高いのが実情です。
国土交通省に認可された団体の資格ならこの部分の書類審査が免除される形です。
ドローンを飛行させる際には航空法以外にも様々な法律が関わってきます。
資格を取得するための講習でこれらを学ぶことができるので、よほどの理由がない限りは民間の資格を取得し、国土交通省へ飛行申請を提出するのがよいでしょう。
民間のドローン免許・認定資格の種類
ここからは代表的なドローンの民間資格をご紹介します。講習を受講して資格を取得するタイプの民間資格は、基礎から応用までドローンに必要な知識と技術まで学ぶことができます。
飛行させる際に必要になってくる安全管理はもちろんのこと、航空法以外のドローンが関わってくる法律をイチから学ぶことができるためオススメです。
DJI CAMP スペシャリスト認定資格
ドローン生産で世界最大のメーカーと言われているDJIの日本法人、DJI JAPANによって管理されている免許です。
DJI CAMPというのは、「DJIスペシャリスト」という同団体オリジナルの講座で、2日間にわたって、ドローンに関する知識を学ぶ講習となっています。
この講習に参加し、その後の認定テストに合格すれば、「DJIスペシャリスト」というドローン免許を取得することができます。
なお、更新制で更新には別途費用がかかります。
- 10時間以上のドローンの飛行経験者(DJI製品ユーザーに限る)
- 受講料 55,000円~110,000円(税込)
- 認定発行手数料 16,500円(税込)
- 日程 2日間
特徴
- 座学講義、筆記試験、実技試験がある
- 資格を取得するとDJI損害賠償保険の割引
- すべての飛行形態が解除できる
すでにDJI製ドローンを所有している人が対象のため、初心者やこれから知識を身に着けたい人よりある程度の経験者でDJIの資格がほしい人やmavic miniシリーズを使って飛行申請なしで経験を積んだ方に最適です。
DJI賠償責任保険が10%割引になるため、万が一に備えたい方にもおすすめです。
上位の資格としてDJI CAMPインストラクターがあります。
こちらは受講条件に50時間以上の飛行操縦経験と国土交通省から飛行の許可・承認を受けた経験者に限られます。
JUIDAドローン資格
一般社団法人日本UAS産業振興協議会、通称JUIDAは2014年に設立された、ドローン産業の創造と支援を目指す団体です。
日本全国に、同団体のスクールが展開されており、ドローンの免許を各地で取得することが可能です。
ただし、スクールによってインストラクターや環境の差から学べる技術にバラつきがあるということは覚えておきましょう。
同団体で取得できる免許は、「操縦技能証明」と「安全運航管理者」です。
こちらの資格も2年ごとに更新が必要となります。また農薬散布に必要な「物件投下」は技能認定に含まれておりません。
農薬散布を目的とした方はご注意ください。
操縦技能証明
- 16歳以上で未成年者は親権者同意書が必要
- 受講料 200,000円~400,000円(税込)
安全運行管理者
- 20歳以上
- 操縦技能証明証保持者
- 受講料 55,000円~77,000円(税込)
証明証発行費用 43,500円(税込)
内訳
- JUIDA入会費用 5,000円(税込)
- 操縦技能証明資格発行費用 22,000円(税込)
- 安全運行管理者証明資格発行費用 16,500円(税込)
更新費用 11,000円(税込)
- 操縦技能証明資格 更新手数料 7,700円(税込)
- 安全運行管理者証明資格 更新手数料 3,300円(税込)
特徴
- 「無人航空機操縦技能証明証」と「無人航空機安全運行管理者証明証」の2種類の資格がある
- 飛行場所や飛行形態を解除するには2つとも取得しておいたほうがよい
- 全国194の認定校がある(2022年4月現在)
- 物件投下以外の飛行形態が解除できる
DPA(一般社団法人ドローン操縦士協会)の資格
一般社団法人ドローン協会、通称「ディーパー」によって管理されているドローン免許です。
この協会は、ドローン操縦士を育てるために2016年に設立されました。
現在、認定されている資格は「ドローン操縦士 回転翼3級」とインストラクター資格である「ドローン操縦士回転翼3級 インストラクター」の2つです。
3級とありますが、まだ1級や2級の資格は設立されていません。
これから整備が進んでいくのではないかと思われます。
DPAの資格認定校で講習を受け、その後の試験に合格することで登録が可能となります。
ちなみに、両資格とも2年間で更新が必要となり、更新の際には別途更新料が必要となります。
受講要件
- 15歳以上
- 視力、色覚、身体要件あり
受講料
- 250,000円~400,000円(税込)※スクールによって異なります。
- 初回認定料 25,000円(税込)
- 更新料(2年) 12,000円(税込)
特徴
- 講習ではドローン操縦の実技講習の時間を長くとっている
- 実技講習はマンツーマン指導
- 講習カリキュラムは認定校で共通、統一化されている
- すべての飛行形態が解除できる
ドローン検定協会の資格
この資格は、別名「無人航空従事者試験」とも呼ばれており、これまでご紹介した免許とはちがって座学のみの試験となります。
実技は実技検定という形で別に設けられています。そのためドローン検定は基本的にはドローンに関する知識をはかる目的で受けることが多いです。
特に、ドローンを安全に活用するための知識に特化しており自身でドローンは操縦しないが、ドローンの活用を考えているという場合によく利用されます。
検定は1~4級まであり、合格すると認定証を取得することができます。各級によって受検料が異なりますので気を付けてください。
ドローン検定1~4級のどれかを取得していると実技検定「座学5時間・実技10時間」の講習から、座学が4時間免除されます。
受験要件
- 1級:2級保持者
- 2級:3級保持者
- 3級:なし
- 4級:なし
費用(ドローン検定座学試験のみ)
- 1級 18,300円(税込)
- 2級 12,200円(税込)
- 3級 5,600円(税込)
- 4級 3,000円(税込)
DPCA(一般社団法人DPCA)の資格
DPCAはドローン撮影クリエイターズ協会の略で、ドローンと人類が健全に共存する社会づくりを目指して設立されました。
協会名にクリエイターズとあるように、映像撮影をはじめとしたメディア関連事業に力をいれているようです。
DPCAもJUIDAと同様に農薬散布に必要な「物件投下」は技能認定に含まれておりません。農薬散布が目的の方はご注意ください。
受験要件
- 満16歳以上(16歳~17歳は親権者の同意が必要)
- 両眼で0.7以上、かつ片眼で0.3以上の視力(矯正可)
- 赤・青・黄色の3色が識別できる
- 日常の会話を聴取できる
- ドローンの操縦に支障を及ぼす身体障害がない
- 普通の読み書きができ、その内容を理解できる
BASICコース
- 55,000円(税込)
- 認定証発行料 16,500円(税込)
ADVANCEコース
- 99,000円(税込)
- 認定証発行料 16,500円(税込)
まとめ
ドローンの操縦には資格や免許が必要ありませんが、法律によって飛行場所や飛行方法が制限されています。
これらの制限はかなり厳しいもので制限を解除しないと飛行できる場所は非常に限られます。制限を解除するために国土交通省に飛行申請を提出し、承認・許可を得るのが飛行許可証です。
この飛行許可証を得るために10時間以上の実技訓練が必要ですが、訓練の方法も指定されており現実的には民間の資格を取得するためにドローンスクールに通うのが最も近道というものでした。
法律に違反せずに安心して飛行させるには必要な知識と技術を学び、民間の資格を取得したのち国土交通省に飛行申請を提出することが必要です。
今後はドローンの免許制が始まるとされています。具体的には2022年末ごろとされていて、免許制は一等無人航空機操縦士と二等無人航空機操縦士の2つに区分される予定です。また既存の民間資格保有者はこれらの免許を取得する際に優遇されることが決まっています。
>>ドローンの免許制について詳しくはこちらの記事で解説しています。
免許制に向けて今のうちに民間資格を取得するのもよいでしょう。
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