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2026.06.06

2026.06.06

ドローン測量に資格は必要? 資格の種類・取得方法と成功のポイント

ドローン測量に資格は必要? 資格の種類・取得方法と成功のポイント

ドローン測量は、建設・土木の現場で従来の測量作業を大幅に効率化する手法です。国土交通省が推進するi-Constructionでは、ICT土工を導入した現場で測量から検査までの作業時間が平均23.4%削減されたとの調査結果があります。この記事では、ドローン測量に必要な資格の種類と取得方法、現場で成果を出すための機体・ソフト選定や飛行計画のポイントを、具体的な数値とともに整理しました。

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ドローン測量の基礎知識

ドローン測量とは?

ドローン測量とは、ドローン(無人航空機)に搭載したカメラやLiDARセンサーで地形や構造物の三次元データを取得する測量方法です。RTK(リアルタイムキネマティック)測位対応の機体を使えば、水平精度1cm+1ppm(RMS)、垂直精度1.5cm+1ppm(RMS)の位置情報を飛行中にリアルタイムで取得できます。取得した画像・点群データは専用ソフトで処理し、オルソモザイク画像、DSM(数値表面モデル)、3次元点群データなどの成果物を生成します。

ドローン測量のメリット

ドローン測量の最大のメリットは、作業時間とコストの大幅な削減です。国土交通省の調査によると、ドローン測量は従来手法の約4割の人工(約60%削減)で測量作業が完了します。大林組とKDDIスマートドローンが上信越自動車道の工事現場で実施した事例では、従来2人×2日かかっていたデータ生成・解析が約20分で完了しました(参考:KDDIスマートドローン プレスリリース)。また、山間部や急斜面など人の立ち入りが困難な場所でも安全に測量できるため、砂防工事や災害復旧の現場でも活用が進んでいます。

ドローン測量の種類

ドローン測量は大きく「写真測量(フォトグラメトリー)」と「レーザー測量(LiDAR)」の2種類に分かれます。写真測量は、複数枚の空撮写真から三角測量の原理で三次元モデルを生成する手法です。GCP(対空標識)とRTK測位を併用すれば水平精度5cm程度を達成でき、機材コストが比較的低いため導入しやすい特徴があります。レーザー測量は、レーザーパルスの反射で直接3D点群を取得する手法で、植生の下の地表面も計測できるため森林測量や河川測量に適しています。国土地理院は写真測量用に「UAVを用いた公共測量マニュアル(案)」(平成29年3月改正)、レーザー測量用に「UAV搭載型レーザスキャナを用いた公共測量マニュアル(案)」(令和2年3月改正)をそれぞれ策定しており、いずれもドローンによる公共測量が正式に認められています。

ドローン測量に必要な資格

無人航空機操縦者技能証明(国家資格)

ドローン測量を行うために法律上必須の資格はありません。ただし、2022年12月5日に施行された改正航空法により、国家資格「無人航空機操縦者技能証明」制度が開始されました。一等資格はレベル4飛行(有人地帯での補助者なし目視外飛行)を可能にし、二等資格は一般的な飛行許可申請の手続きを簡略化します。2026年4月時点で登録講習機関は全国715機関に拡大しており、登録講習機関を修了すると実地試験が免除されます。指定試験機関は一般財団法人日本海事協会が唯一担当し、学科試験(CBT方式)・実地試験・身体検査の3段階で審査されます。資格の有効期間は3年間で更新講習が必要です。

2025年12月18日をもって、従来の民間資格(JUIDA、DPAなど)による飛行許可申請の手続き省略措置は廃止されました。民間資格そのものは引き続き取得できますが、国の制度上の優遇はなくなったため、今後ドローン測量を始める場合は国家資格の取得を推奨します。

測量士・測量士補

ドローンで取得したデータを公共測量の成果として使用するには、測量士または測量士補の国家資格が必要です。測量士は測量計画の策定・指揮を行い、測量士補は測量士の指示のもとで実務を担当します。令和7年(2025年)の試験では、測量士の合格率が40.2%(受験者3,703名中1,487名合格)、測量士補の合格率が51.2%(受験者13,363名中6,837名合格)と、いずれも過去10年間で最も高い合格率を記録しました(出典:国土地理院 測量試験情報)。測量士補は全28問中18問以上正解(64%)で合格する絶対評価方式です。

国土地理院は「UAVを用いた公共測量マニュアル(案)」と「UAV搭載型レーザスキャナを用いた公共測量マニュアル(案)」を策定し、ドローンによる公共測量の作業手順を明確化しています。2025年4月には「LidarSLAM技術を用いた公共測量マニュアル」も新たに策定されました。

DSERO認定資格(ドローン測量管理士・技能士)

一般社団法人ドローン測量教育研究機構(DSERO)は、「ドローン測量管理士」と「ドローン測量技能士」の2種類の認定資格を運営しています。管理士は測量結果を活用する技術者向け、技能士はドローンで計測を行う技術者向けの資格です。試験は一次試験(択一式)と二次試験(面接形式)の2段階で実施されます。2025年度の春期試験は7月5日(一次)・8月23日(二次)、秋期試験は11月1日(一次)・12月6日(二次)に実施予定です(参考:DSERO公式サイト)。DSEROには国際航業、朝日航洋、アジア航測、パスコなどの大手測量・航空測量企業の関係者が参画しており、認定カリキュラムはJUAVACドローンエキスパートアカデミーなどで受講できます。

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ドローン測量の資格取得方法

ドローンスクール

国家資格に対応したドローンスクール(登録講習機関)では、操縦技術に加えて航空法・測量の知識を体系的に学べます。測量に特化したコースを持つスクールも増えています。

JUAVACドローンエキスパートアカデミーは、パスコ監修の測量基本技術コースを全国で展開しています。初級コースは5日間・330,000円(税込)で空中写真測量の基礎から解析手法まで学べます。中級コースでは管理士(2日間・198,000円)と技能士(3日間・341,000円)に分かれ、i-Construction現場での精度管理を実践的に習得できます。中級コースはDSERO認定資格「ドローン測量」に対応しています(参考:JUAVAC公式サイト)。

Future Dimensionは、日本初のコマツ認定ドローン測量実践コースを提供しています。5日間・437,800円(税込)で、コマツが4,000超の施工現場で蓄積した経験をもとにi-Constructionの基礎から飛行計画作成、Agisoft Metashapeによる解析まで学べます。リスキリング補助制度を利用すれば実質約115,720円(最大75%補助)で受講できます。岡山県和気町の河川敷・道路など9箇所のフィールドで実習を行います(参考:Future Dimension公式サイト)。

旭テクノロジーが運営するATCLドローンスクールジャパン(姫路・大阪)では、国家資格(一等・二等)取得コースを開講しています。二等(初学者)は4日間・370,700円(税込)、一等(初学者)は7日間・744,700円(税込)です。人材開発支援助成金を活用すれば最大75%の費用補助を受けられます。

独学

測量士補試験は独学でも十分合格を狙える資格です。合格基準は全28問中18問以上正解(64%)の絶対評価で、令和7年(2025年)の合格率は51.2%でした。過去問の出題パターンに一定の傾向があるため、過去10年分の問題を繰り返し演習することが最も効果的な勉強法です。7年分をマスターすれば出題範囲の約80%をカバーできます。必要な勉強時間は一般的に200時間ですが、100〜150時間で合格する受験者も少なくありません。

推奨テキストとしては、松原洋一著『測量士補 合格ガイド』(図・写真が豊富で初学者向け)や、テキスト+問題集一体型の『1冊合格! 測量士補試験』(効率重視の方向け)があります。国土地理院は過去5年分の試験問題と解答例をPDFで無料公開しているため、独学の教材としても活用できます。

一方、ドローンの操縦技術やドローン国家資格試験の独学受験は可能ですが、実機を使った訓練がないと実地試験での合格は難しい傾向にあります。測量技術には操縦スキルだけでなく土木・建築の知識も求められるため、スクールや講習会との併用が実務上は効果的です。

講習会・セミナー

ドローンメーカーや測量会社が主催する講習会・セミナーでは、特定のテーマに絞った実践的な知識を短期間で習得できます。

ポラリスエクスポート(名古屋)は、DJI TERRAを使った自動航行・写真測量セミナーを1.5日間・154,000円(税込)で開催しています。GNSS測量の原理、カメラの基礎、DJI PILOT 2によるウェイポイント・エリアルートの飛行計画作成、3Dモデル構築までを定員4名の少人数で学べます(参考:DJI TERRAセミナー詳細(ポラリスエクスポート))。

セキド(DJI正規代理店)は、DJI産業機の無料実演セミナーを全国で定期開催しています。DJI Matrice 4シリーズ、Matrice 350 RTK、Zenmuse L2/P1などの実機デモを無料で見学でき、測量・インフラ点検の最新機材を手に取って確認できます(参考:セキドプレスリリース)。

ドローン測量を成功させるためのポイント

適切な機体・ソフトウェアの選定

ドローン測量の精度と効率は、機体とソフトウェアの選定で大きく変わります。主要な測量用ドローンと解析ソフトの特徴を整理します。

測量用ドローン: DJI Phantom 4 RTK SE(参考価格約42万円〜)は、1インチ20MPセンサーとメカニカルシャッターを搭載し、飛行高度36mでGSD 1cm/pxを達成します。ネットワークRTK対応で後処理不要の効率性が特長ですが、在庫限りの販売です。DJI Matrice 350 RTK(約100万円〜、バッテリー別)はフラッグシップ産業機で、写真測量用のZenmuse P1やLiDAR用のZenmuse L2(約350万円〜)など複数のペイロードに対応します。最大飛行時間は55分(ペイロードなし)です。

解析ソフト: DJI Terraは2D/3DマッピングとLiDAR処理に対応するDJI純正ソフトです。Zenmuse L2購入時には付属します。Pix4Dmapperは月額約35,600円(1,500画像/月)で、点群・距離・面積・体積計算が可能なスイス製ソフトです。日本製のくみき(KUMIKI)は月額33,000円からで、オルソ・DSM・点群の自動生成とサポート体制の充実が特長です。Agisoft Metashapeは写真測量の定番で、コマツ認定コースでも採用されています。

飛行計画の作成

精度の高い測量データを得るには、適切な飛行計画の策定が不可欠です。国土地理院のマニュアルでは、写真のオーバーラップ率(重複度)を進行方向80%以上、横方向60%以上と規定しています。植生が密な箇所や影が多い箇所ではさらに重複度を上げることが推奨されます。

GSD(地上画素寸法)は、作成する数値地形図の地図情報レベルに応じて設定します。一般的な測量用途ではGSD 1〜3cm/px(飛行高度36〜100m程度)が目標です。対空標識(GCP)は平坦地で最低4点、起伏がある地形では6〜8点以上を設置します。飛行計画の作成にはDJI Pilot 2、Pix4Dcapture、DroneDeployなどの専用アプリを使用します。高低差が大きい地域ではテレインフォロー飛行を使い、対地高度を一定に保つことが精度確保のポイントです。

データ処理・解析

ドローンで取得した写真やLiDARデータの処理は、以下の手順で進めます。まず、重複画像間の特徴点を抽出・対応付け(SfM処理)し、カメラの内部パラメータとレンズ歪みを補正します。次にバンドル調整で3D点位置とカメラパラメータを同時最適化し、高密度点群を生成します。最後にオルソモザイク画像、DSM、等高線図、体積計算表などの成果物を出力します。

RTKやPPK(後処理キネマティック)を適切に運用した場合、水平精度1〜3cm、垂直精度2〜5cmの計測が可能です。出力形式はGeoTIFF、LAS/LAZなどが標準です。データ処理の詳細な手順については3D点群データの活用方法もあわせてご確認ください。

導入事例

大林組×KDDIスマートドローン 高速道路工事の遠隔自動測量(2024年)

大林組とKDDIスマートドローン、Liberawareは2024年7月から、上信越自動車道・北牧トンネル工事(群馬県安中市)で自動充電ポート付きドローンによる遠隔測量を実施しています。東京のオフィスから約65km離れた現場をレベル3(補助者なし目視外飛行)で毎週運用し、3D点群データから掘削量の算出と横断面図の自動生成を行っています。従来2人×2日かかっていたデータ生成・解析が約20分に短縮され、1年間無事故で継続運用を達成しました。掘削現場は約95,000立方メートル、崖高さ約70mの大規模工事です(参考:KDDIスマートドローン プレスリリース)。

フジタ×センシンロボティクス 建設現場の完全自動化ドローン測量

フジタとセンシンロボティクスは、横断道羽ノ浦トンネル工事(徳島県小松島市、発注者:国土交通省四国地方整備局)でドローンハブ「SENSYN Drone Hub」による完全自動化測量を実施しました。1日あたり安全巡視2回と写真測量1回を無人で実行し、測量から土量計算までの作業時間を従来の1/4に短縮しました。オペレーターの現場常駐も不要となり、人件費を100%削減しています。建設現場としては日本初のレベル3飛行(補助者なし目視外飛行)を達成した事例です(参考:センシンロボティクス プレスリリース)。

赤間建設 八丈島の砂防工事でドローン3D点群測量を活用

赤間建設は、八丈島・大里一の沢の砂防工事(土砂災害からの住宅地保全)で約17,000平方メートルの範囲をドローン3D点群測量しました。従来6人×2日かかっていた測量が3人×半日(75%削減)で完了し、費用も約70万円から約40万円に削減(約40%削減)されました。3D点群データにより土砂崩壊の体積を可視化し、災害復旧計画の精度向上にも貢献しています(参考:エーアールエー プレスリリース)。

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まとめ

ドローン測量に法律上必須の資格はありませんが、国家資格「無人航空機操縦者技能証明」を取得すれば飛行許可申請が簡略化され、2025年12月に民間資格の優遇措置も廃止されたため国家資格の取得が有利です。公共測量の成果利用には測量士・測量士補の資格が必要で、DSERO認定資格はドローン測量の専門性を証明する手段として有用です。

資格取得と同時に、RTK対応機体と適切な解析ソフトの選定、国土地理院マニュアルに準拠した飛行計画の策定が現場での成果を左右します。導入事例が示すとおり、ドローン測量は作業時間を従来比75%以上削減し、費用も40%程度圧縮できる技術です。まずは二等国家資格と測量士補の取得から始め、スクールや講習会で実践スキルを磨くことを推奨します。

著者プロフィール

株式会社旭テクノロジー(ATCL)ドローン事業部

1984年創業、兵庫県姫路市に本社を置く株式会社旭テクノロジー(代表取締役:幸長保之)は、プラント事業・再生可能エネルギー事業・ドローン事業の3本柱で事業展開しています。ドローン事業部では、国家資格対応ドローンスクールの運営に加え、インフラ点検(下水道・橋梁・鉄道構造物)・空撮・農薬散布・自動警備など幅広いドローンソリューションを提供。姫路市・明石市での下水道管路点検公開検証、神戸電鉄の鉄道構造物維持管理支援、茨城県のドローン自動警備実証実験など、官民問わず多数の実績があります。本記事はATCLドローン事業部が一次情報・公開資料をもとに執筆・監修しています。

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