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2020.06.12

ドローンを使った農薬散布の基礎知識と手続きの流れ

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ドローンを使った農薬散布の基礎知識と手続きの流れ

今や、農業の発展のためには必要不可欠なものになりつつあるドローンによる農薬散布。散布できる農薬の種類も増え続け、2019年7月末には、農薬散布に関するドローンの規制の見直し(緩和)も行われるなど、ますます身近で便利な存在になっています。
今回はドローンを使った農薬散布の基礎知識や、散布に至るまでの手続きについてご紹介します!

 

 

そもそも農薬ってどういうもの?

ドローンを使った農薬散布の説明の前に、農薬そのものについて、解説しておきましょう。

農薬とは「農薬取締法」※1に基づき、農林水産大臣が効果、安全性等をチェックし、問題がないものについてのみ登録された薬剤や、天敵生物などのことを指します。

用途別に多くの分類がありますが、農林水産省では農薬を、「殺虫剤」、「殺菌剤」、「殺虫殺菌剤」、「除草剤」、「殺そ剤」、「植物成長調整剤」、「その他」の7種類に分類しており、農薬登録も、この分類に従って行われています。

農薬を使うメリットとしては主に以下の3点が挙げられます。

  • 農作物の生産上の問題になる病害虫や雑草の防除
  • 農作物の成長促進
  • 農作物の成長抑制

農薬のメリットとして、もっとも分かりやすいものが、一番上の“農作物の生産上の問題になる病害虫や雑草の防除”です。 言葉の通り、農薬を使って病害虫を駆除したり、除草を行うというもので、その効果は絶大です。
1993年に社団法人日本植物防疫協会が実施した「農薬を使用しないで栽培した場合の病害虫等の被害に関する調査」では、病害虫防除対策を行わなかった場合に、農作物の収穫量が大幅に減少することが分かりました。
また農作物の種類にもよりますが、モモやリンゴなど一部の作物は、“農薬なしではほとんど育たない”ということも判明しています。

その他のメリットである“農作物の成長促進”とは、果実をつきやすくしたり、サイズを大きくしたりするものです。一見メリットではない様に思われる“農作物の成長抑制”とは、稲などの成長を抑えて、倒れにくくするといった目的のために必要とされています。

あまり農薬のことを知らない人からは、“農薬は人体に悪い影響を与えるのでは?”と言う声もありますが、最初に触れたように、農薬は農薬取締法に基づき、数多くの安全検査を実施した上で登録されているため、安全性はきちんと確保されています。

1つの農薬を登録するだけでも膨大な検査項目をクリアする必要があり、新しい農薬の開発には、およそ10年の歳月と数十億円にのぼる経費が必要と言われていることからも、どれだけ、安全に徹底して作られたものかはご理解いただけるかと思います。

結論として、農業における農薬とは、作業の負担を減らしながら、農作物の収穫量を安定化させるものであり、“農業にとってなくてはならない存在”と言えるでしょう。

※1 農薬取締法…粗悪な農薬の追放と品質保持の向上、および食糧の増産を目的に1948年に制定された法律。この法律により、国内で販売する農薬については、農林水産大臣の登録を受けた農薬でなければ、製造、加工、輸入をしてはならない。2002年の大改正の後は、農薬使用者においても使用基準の遵守を明確に義務づけられ、もし農薬に記載されている使用基準から違反した場合には、3年以下の懲役もしくは100万円以下の罰金、場合によっては両方が科されるという重い処罰が設けられている。

 

ドローンを使った農薬散布とは

農業になくてはならない農薬(散布)ですが、従来の農薬散布は、農作業の中でも特に重労働とされてきました。そんな中、農薬散布用ドローンの登場は、それまでの農薬散布の概念を変えてしまうほどの出来事になりました。

それでも、農薬は危険物に該当するので、適切な散布を行わないと他の作物や周辺家屋に危害を加えてしまう可能性があります。基本的には農薬散布用ドローンはメーカー側が専用の講習を設けています。

ドローンが登場する以前の農薬散布は、人間がタンクを担いで農薬をまく地上散布と、無人ヘリを活用する空中散布が主流でした。地上散布はコストが安い分、時間と労力がかかり、ヘリによる空中散布は時間と労力を抑えられる反面、非常にコストがかかりました。

しかしドローンを使えば1ヘクタールあたり約10分(地上散布の約40~60倍)で農薬散布が行え、さらに価格も一機100~300万円台(ヘリは1機1000万以上)と、コスト面でも大幅に抑えることができるようになりました。

 

国内では2016年から導入が始まり、2019年7月には、農業用ドローンの普及の妨げになっていた様々な規制の見直し(緩和)※2も行われ、より一層身近な存在になりました。

最近では、あらかじめ決められた範囲から、設定された飛行ルートに従って、自動航行しながら農薬散布を行うと農薬散布用ドローンも登場※3するなど、その進化はとどまることを知りません。

※2「農業用ドローンの規制緩和について」はこちら>>

※3「ドローンの自動航行」についてはこちら>>

 

ドローンで散布できる農薬とは

ドローンの登場によって劇的に進化した農薬散布ですが、全ての農薬がドローンによって散布できるというわけではありません。

現状、ドローンに散布できる農薬は使用方法が

  • 無人航空機による散布
  • 無人ヘリコプターによる散布
  • 無人航空機による滴下
  • 無人ヘリコプターによる滴下

とされているものです。

なお、散布機器が指定されていない

  • 散布
  • 全面土壌散布

となっている農薬についても、使用方法をはじめ、希釈倍率、使用量等を遵守できる範囲であれば、ドローンで散布することは可能です。
注意すべきは、無人航空機(ドローン含む)や、無人ヘリコプターを使った空中散布用の農薬は、希釈倍率が8~16倍ほどと高濃度となっており、一気に効率よく散布できる一方、「散布」のみの農薬では、希釈倍率が1000~2000倍ほどになっており、積載重量が少なく、薬剤タンクの容量が小さいドローンでは、その持ち味を活かせない可能性があります。

 

ドローンで使用可能な農薬については下記の農林水産省の専用ページから確認できます。

https://www.maff.go.jp/j/kanbo/smart/nouyaku.html

毎月の様に、ドローンで使用できる農薬の情報が更新されているほか、ドローンに適した農薬一覧というエクセルのダウンロードもできるので、気になる方はチェックしてみましょう。
また同ホームページ内でも案内されていますが、独立法人農林水産消費安全技術センターのホームページ※4からも、使用可能な農薬を確認できます。
こちらでは検索機能を使うことで、育てる農作物ごとに、ドローンで使用できる農薬を調べることができます。

 

※4農薬登録情報提供システム>>

 

ドローンで農薬散布をするための手続き

ここからは実際にドローンで農薬散布をするための手続きについて紹介します。

2019年7月の規制緩和以前は、農林水産省が定めた「空中散布等における無人航空機利用技術指導指針」に基づき、農薬散布用ドローンを導入・運用するためには

  • オペレーターとして技能認定・登録
  • 農薬散布用ドローンの機体登録
  • 国や都道府県に散布計画書の提出
  • 農薬散布時に補助者の配置

などが必須条件でしたが、指針の廃止により、これらが不要になりました。

現在、農薬散布用のドローンを飛ばすために必要なのは、一般的なドローンと同じく航空法に基づいて、国土交通省の許可と承認を得ることだけです。
一般的なドローンの場合、場所や条件によっては承認が不要になる場合もありますが、農薬散布は航空法で規制されている「危険物輸送」と「物の投下」に該当するため、国交省からの飛行承認を必ず得る必要があります。
なお、許可と承認を受けるための条件として“10時間以上の飛行経験”と“5回以上の農薬散布経験”が求められます。
自動航行システムを使った農薬散布用ドローンを利用する場合でも、こちらの条件は変わりません。申請に必要な飛行実績や技能は全国にあるドローンスクールなどで身につけることができます。本記事の最後でも紹介しているので、ご確認ください。

また無事に申請の手続きを終えた後も、すぐにドローンを運用してはいけません。
以下のガイドラインに必ず目を通し、安全に徹底した操縦するように努めましょう。

 

無⼈マルチローターによる農薬の空中散布に係る安全ガイドライン>>

 

農薬散布用ドローンのことならドローンスクールジャパンにお任せ!

今回はドローンを使った農薬散布の基礎知識と手続きについて解説しました。
農業の省力化に一役買い、規制も緩和されたドローンによる農薬散布のニーズは、今後さらに高まることは間違いありません。それに伴いパイロットの存在が必要不可欠となるでしょう。

農薬散布用ドローンのパイロットになるためは、必要最低限の飛行実績や技能、農薬に関する知識を事前に身につける必要があります。

旭テクノロジーが運営するドローンスクールジャパンでは、農薬散布用ドローンを代表する機体「AGRAS MG-1」および「AGRAS T20」を使った「DJI農業ドローンオペレーター認定講座」を行っています。農薬散布用ドローンの準備から飛行までしっかりと学ぶことができるので、講座修了後すぐにパイロットとして活躍することができます。ドローンの機体販売やサポートなども行っていますので、興味のある方はぜひ受講をご検討ください。

詳しいコース内容はこちらから>>

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